オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび518

春野草結「歩いて旅する 熊野古道・高野・吉野」を読む4 5時起きで、川原の露天風呂に入る。山に朝靄がかかり美しい。高野山へ向かう途中では、龍神のドライブインに立ち寄る。檜の香りが店全体をみたしていた。 さて、奥の院。大会社や歴史を彩った大名らの…

オヤジのあくび517

春野草結「歩いて旅する 熊野古道・高野・吉野」を読む3 那智勝浦に泊まり、二日目は熊野三山へ。世界遺産の熊野古道もおいしいところ取り的に大門坂を少し歩きます。ところが朝からの雨、苔むす道を転ばぬようにこわごわ歩いていては感慨が湧くゆとりかない…

オヤジのあくび516

春野草結「歩いて旅する 熊野古道・高野・吉野」を読む2 実際に熊野古道を歩くハイカーが携行するために編まれた本なのですが、自分は観光バスで楽チンかましているツアー客でして、あっ、ここを歩くとこんな感じなのか! という読み方です。 最初はお伊勢さ…

オヤジのあくび515

春野草結「歩いて旅する 熊野古道・高野・吉野」を読む1 断片的ではあるけれど神社については、人生その折々でそれなりの思い出を辿ることができる。 小さい頃の初詣は江ノ電に揺られて凄い人混みの中を鶴岡八幡宮にお参りに行って、破魔矢を戴いてきていた…

オヤジのあくび514

漫画ワンピースが訴えかけるもの 唐突な言い方かもしれないが、ウクライナで起きていることと、ワンピースのテーマは被っている。この漫画は力による現状変更や制圧に対する抵抗を絶えず描き続けていたのだ。魚人への差別、天龍人という特権階級への憎悪、革…

オヤジのあくび513

時間軸に自由な音楽、空間を染める音楽2 集団で音楽を共有する時には、テンポや拍子間が必要になってくる。盆踊りの太鼓、宴会の手拍子だって同じ類いでしょう。でもより一斉に「せえーの!」が必要になってきたのはハーモニーの美しさに気づいてからだと思…

オヤジのあくび512

時間軸に自由な音楽、空間を染める音楽1 衝動的に音を鳴らす。声を出す、叫ぶことが音楽の出発点だとすれば、そこに時間軸の制約はなかったはず。集団で音を共有しようとして初めてテンポやリズムを共通理解する必要に迫られたはずです。けれど音楽の一部は…

オヤジのあくび511

夢や憧れの変遷について 何に憧れて、冒険の海に漕ぎ出していくか? コロンブスやマゼランの時代と現在とではまるで違う。海という未知の世界は、宇宙や深海に置き換わっている。 これは冒険だけではない。今提供されるべき夢とは何なのか? 残念ながらかな…

オヤジのあくび510

山田耕筰「はるかなり青春のしらべ」を読む3 小山内薫がベルリンにやってきて、山田耕筰に真の芸術家として歩み始めるきっかけとなる一言を告げる。作曲とか音楽者へのこだわりから解放された瞬間なのだ。それにしても人は人との出会いにより成長し、変化す…

オヤジのあくび509

山田耕筰「はるかなり青春のしらべ」を読む2 音楽家には、とりわけ作曲家、指揮者、ピアニストには文章が達者な人が多い。作曲家や指揮者は自分自身でお客様へ音を発していない鬱憤がガス抜き的に文章に転化されるのだろうか? 山田耕筰も同様で、軽妙且つ抱…

オヤジのあくび508

山田耕筰「はるかなり青春のしらべ」を読む1 コロナ禍で学校が休校だった頃、朝ドラで古関裕而を主人公にした「エール」が放映されていて、作曲界の重鎮として山田耕筰がでているわけですが、演じていたのが生前の志村けんさんでした。確かに頭髪が寂しい感…

オヤジのあくび507

梨木香歩「ほんとうのリーダーのみつけかた」を読む 話は同調圧力の実験から始まる。おかしいと感じていることに同調してしまうことは、教室内の子どもたちにもある。おかしいと感じるけれど、みんなが黙っているからボクも黙っていよう。筆者が言うように「…

オヤジのあくび506

池辺晋一郎「耳の渚」を読む3 ・映画監督今村昌平さんの「楢山節考」の音楽作りの中で「五線が見える」と指摘された経験を話している。農家でわら打ち仕事をしながら歌う歌。五線が見えるとは、西洋音楽らしさが透けて見えて、農民の作業歌になっていないと…

オヤジのあくび505

池辺晋一郎「耳の渚」を読む2 ・楽譜に書いてある音に忠実であれ! と生前おっしゃっていた朝比奈隆さんのエピソードが出てくる。しかし、朝比奈氏の指揮から著者はベートーヴェンの交響曲で楽譜の指定がないritardandoを見つけてしまう。そして語る。楽譜が…

オヤジのあくび504

池辺晋一郎「耳の渚」を読む1 エッセイというのは、何か書きたいけれど、持久力がない人に向いた表現した方法だと思います。「オヤジのあくび」だってその時その時でそれなりに自分の本心や立ち位置を書いているつもりなのだけれど、長編小説のように延々と…

オヤジのあくび503

繋げる、伝える5 読書の喜び 実はボクもスマホゲームはやりますし、まだ仕事もそれなりに続けていますので、日々読書三昧という生活ではありません。 しかもボクの読書傾向は偏っていて、図書分類で言う900番台は、随筆くらいにしか手が伸びず、ほとんどは80…

オヤジのあくび502

繋げる、伝える4 薩摩琵琶 琵琶の音色に初めてふれたのは、40代前半、地域に琵琶を弾かれる方がいらっしゃると聞いて、学校の音楽室にお招きした時が初めてでした。その音色はずっと気持ちの中に残っていたのですが、自分から教わりに行く余裕を作り出せない…

オヤジのあくび501

繋げる、伝える3 男声合唱 流石に女声合唱の経験はないのですが、一度だけモンテヴェルディ「アリアンナの嘆き」で男声アルト=カウンターテナーを歌ったことがあります。あとは混声や男声。音域はトップからバリトンまでで歌ってきました、ベースだけはおそ…

オヤジのあくび500

繋げる、伝える2 アカペラハーモニーの魅力 オーケストラや吹奏楽のハーモニーは、多くの人々を魅了します。でももっと身近にハーモニーを体験できるグループがあってもいいでしょう。それはつまりみんなで歌うことです。ところが多くの人は学校を卒業すると…

オヤジのあくび499

繋げる、力まず伝える1 音楽の楽しさ いくら教員不足だからと言って、何もこんなおじさんに教わらなくてもねぇ・・。私自身もそのような思いが頭をかすめることがあるのですが、開き直れば歳をとってきたということは、それだけいろいろな音楽を見境なく聴い…

オヤジのあくび498

改めて自由とは? 自由とは、全ての個人において保障されているので、自分だけ、あるいは誰か一人の自由だけが主張されることは、即矛盾を産んでしまう。 自由を考えるということは、全ての人が自由であるためには今何ができるのか? 考えることと同義であり…

オヤジのあくび497

とにかく人が死ぬのはダメ。 日本は素手で闘う武道がある。柔道、合気道、空手然り。剣道は竹刀も使うが、真剣がある時代から変化したのだ。相手を死に至らしめない、大怪我をさせない思想が低層を流れている気がします。 水戸黄門では「ジジイ、やっちまえ…

オヤジのあくび496

ぼくが出会った合唱指揮者② 福永陽一郎=陽ちゃん先生 福永陽一郎は、人から先生と呼ばれることを露骨に嫌った。事情を知らずに「先生」と呼べば「ボクは先生していません!」の一喝を喰らってしまう。しかしながら、死後三十年以上経ち、未だにその演奏が語…

オヤジのあくび495

ぼくが出会った合唱指揮者① 山根一夫先生 我が師、山根先生について書く。おそらくは日本の合唱指揮者としてパイオニア的な存在であり、合唱指揮で何とか生活していけることを身をもって証明していた方でもある。 しかし、現在山根先生について語られること…

オヤジのあくび494

さだまさし「やばい老人になろう」を読む まっさんの言う「やばい老人」の条件は三つ、知識が豊富、どんな痛みも共有してくれる、何かひとつスゴイものを持っている・・だそうだ。 やばい老人のトップバッターとして、身内のお祖母さんと父親のハードロッカ…

オヤジのあくび493

松井孝典/南伸坊「科学的って何だ!」を読む2 後半は教育談義になってくる。カースト制を受け入れながら暮らしているインド人にとって、ヨガや瞑想は格差を受け入れる手段であるなどと、すごいことを言っている。 教育のあり方ほど話題になりやすく、しかも…

オヤジのあくび492

松井孝典/南伸坊「科学的って何だ!」を読む1 本の始めの方で、血液型と性格の話が出てくる。松井先生は「わかる、わからない」と「納得する、納得しない」の境目が、日本語だと「わかる、わからない」で言い表せてしまうので、曖昧になるとおっしゃる。 こ…

オヤジのあくび491

理系科目とボク 勘で「多分そうだろうな」と感じて、わかってしまう学習と、自分の言葉で説明できないと先に進みにくくなってしまう学習があるとすれば、中学校の数学にはその境目が今もある。偉そうににそんなことを書くのは正規職員退職後、バイト的に県内…

オヤジのあくび490

坂東三津五郎「踊りの愉しみ」を読む 踊りを観る前に、出→くどき→手踊り→段切れ という流れを知っていれば、もう少し今の踊りはどこの部分なのかな? という見方ができるでしょう。 琵琶歌だつて、前語り、本語り、吟変わり、崩れ、後語りの部分と地、中干、…

オヤジのあくび489

宮尾慈良「世界の民族舞踊」を読む 私が小学生の頃「ワルツは三拍子」と教わった記憶があります。間違えてはいないのですが、ひっくり返して「三拍子はワルツ」ではありません。音楽の鑑賞曲には「メヌエット」が登場するのですが、三拍子にはメヌエットやマ…