オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

2009-01-01から1年間の記事一覧

神妙にマタイ受難曲を聴いてみる 6

終曲に向かい、限りなく透明に近づいていく音楽 イエスが息を引き取り、埋葬の場面へと音楽は、ようやく大団円を迎える。すべてが澄みきった透明感のある音に変わっていく過程の中で、私は最後の有名な合唱よりも、その前の67曲めの静けさや63曲目bのた…

神妙にマタイ受難曲を聴いてみる 5

美しすぎるアリア 声楽曲を聴く喜びは、いろいろ挙げられようが、その上位に「美しい旋律を最上の歌声で聴くこと」がランクインされるのは、間違いないことだろう。 では、このマタイ受難曲で一番美しい旋律はどこか?それは、49曲目のソプラノアリアであ…

神妙にマタイ受難曲を聴いてみる 4

エヴァンゲリストとしてのペーター・シュライアー 日本の若者達は、アニメの「エヴァンゲリオン」は知っていても、エヴァンゲリストをご存知だろうか?そのまま訳せば、福音史家ということになるだろうが、マタイ受難曲を聴くにあたって、平たい言い方を許し…

神妙にマタイ受難曲を聴いてみる 3

二十七曲の緊張感!「宗教曲を聴いても眠くなってしまうばかりで・・」と本音をこぼす御仁がいる。いや、宗教曲に限らず、クラシックというご大層な音楽自体が、心していないと「少なからず眠い」ものなのかもしれない。 少々うとうとしながら聴いていた人も…

神妙にマタイ受難曲を聴いてみる 2

心に沁みるコラール 十五曲 十七曲 四十四曲 五十四曲 六十二曲 吉田秀和氏が「私の好きな曲」の中で、次のように書いている。 とにかく『マタイ受難曲』の感動の中には恐ろしいものがあり、その迫真性という点からいっても、悲哀の痛切さには、耐え難いもの…

神妙にマタイ受難曲を聴いてみる 1

筆者の所属する合唱団には、自分の父ほどの年齢でありながら、音楽をこよなく愛し元気に歌い続けていらっしゃる先輩が何人もいる。そのお一人Fさんから、練習の帰り際に「これをお聴きなさい。」とDVDを手渡された。タイトルを見るとカール・リヒターの…

LIVE感覚

富士山麓の山中湖にお気に入りのペンションがあり、何度か利用させてもらっている。とにかくここは、富士の眺めがいい!マスターの料理が美味い!!ワインや酒の種類が豊富!!!と三拍子揃った宿なのだ。夜な夜なマスターと杯を傾けながら飲み明かすことが…

ほいほい 演奏会を聴きに行く。(2009 6月〜7月)

7/19(日)14:00開演横浜紅葉丘合唱団 創立55周年記念 第22回演奏会神奈川県立音楽堂(木のホール)にて 55周年、現在活動を継続している合唱団の多くが戦後に発足した団体であることを思えば、紅葉丘合唱団は、十分に「老舗」の暖簾を下げる…

ほいほい 演奏会を聴きに行く。(2009 6月〜7月)

6/27(土) 14:00 開演 梅雨の晴れ間に 2009 「男声合唱の響演」品川区立総合区民会館 きゅりあん 大ホールにて 若い頃の歌った仲間とともに、昔取った杵柄よろしく男声合唱を楽しむ。名古屋大学男声東京OB合唱団、横浜国立大学グリークラブ…

音符の功罪を問う 4 

功罪とタイトルしたにもかかわらず、ここまでデメリットの部分ばかりを論じすぎたように思い、反省する次第。 楽譜に頼らなくても、音楽をある程度までなら表現あるいは再現できる現代でさえ・・・・・、ん?待てよ。この物言い自体が、実は楽譜一神教の信者…

音符の功罪を問う 3

小生、恥ずかしながら、小学校教員として音楽を専門に教える専科をしていた時代が十年弱あり、合唱団の指揮者を務めていた時代が通算二十年弱ある。その指揮者を務めていたころの話。 その頃、その混声合唱団では、「切手のないおくりもの」を歌っていた。「…

音符の功罪を問う 2

さて、音符をある程度「読める」ことが前提になっている音楽は、器楽に限らない。合唱、大勢でパート毎に一つの音を発声する音楽も、実は「楽譜が読めた方がいい」音楽の一つに数えられる。楽譜に記された一つ一つの音符から同じ音をイメージして表現するた…

音符の功罪を問う 1  

「好きこそものの上手なれ」という言葉がある。興味をもち、それに没頭している時間が長ければ、自然と物事に長じていくのだ・・と諭すこの言葉は、多くの人に勇気と自信を与えてきたに違いない。 しかし、「好き」と「得意」の間に、どうしても容易には乗り…

ぼくの大好きなアルバム この一枚 3

ライクーダー「パラダイス アンド ランチ」 古くから食事時に音楽はつきものである。18世紀後半のウィーンでは、モーツアルトのディベルティメントを聴きながら、王侯貴族達が会食を楽しんでいたろうし、ところを変えて日本のお座敷では、芸者衆の三味線や…

マイ フェイバリッツ ソング 3

プロコルハルム 青い影 イントロが流れてくるだけで、「この曲知ってる!」と気づく名曲がある。マシュー・フィッシャーがオルガンで奏する美しいイントロ(バッハのカンタータ140番にヒントを得たという)に青春の思い出を重ね合わせる人も多いだろう。 …

マイ フェイバリッツ ソング 2

スリー・ドッグ・ナイト ワン 世の中のミュージシャンを、「売れたなら売れるに越したことはないが、とりあえず自分のやりたい音楽を最優先にして我が道を行く音楽家」と「プロを名乗る以上は売れなければ成功とは言えないとばかりに、耳に馴染みやすい曲を…

マイ フェイバリッツ ソング 1

カーペンターズ 雨の日と月曜日は カーペンターズ。ポップシーンを代表する言わずもがなのスーパーグループ。ある音楽評論家だか作曲家だか忘れてしまったが、何かの番組で言っていた。「カーペンターズというグループは、ロックとか特定の音楽ジャンルに分…

ピアニスト辻井伸行が描き出す世界 4

デビューアルバムは二枚組なのだが、その二枚目には彼のオリジナル曲が収められている。とりわけ印象的な曲が、彼が小学校6年生の時に作曲したという「ロックフェラーの天使の羽」である。彼が、クリスマスにロックフェラーセンターで手にしたという天使の…

ピアニスト辻井伸行が描き出す世界 3

ピアニストのイメージと言うと、どんな人が連想されるだろう。「気むずかしくて神経質そうな人」とか「自分に厳しい孤高の人」とかを思い浮かべる人もいるだろう。そんな人が、ベートーベンのソナタをしかめっ面をして弾くと、何だか恐れ多いような、とても…

ピアニスト辻井伸行が描き出す世界 2

彼の演奏に接する一番手っ取り早い方法は、HPにアクセスし、CDに収められた演奏のさわりだけを視聴することだが、むろんそれだけでは、演奏している曲の全体像はつかめない。次なる方法はCDを買い求めることで、例に漏れず私も「debut」を購入し…

ピアニスト辻井伸行が描き出す世界  1

ピアノは「楽器の王様」である。それも童話に出てくる王様のように、かなりわがままで横暴なところがある王様なのだ。彼は何にをしたって構わないのである。ピアノに出せない音なんてないのだから。ほとんどの楽器が、一度には一つの音しか出せないのに対し…

祝!横浜開港150周年! 5

ゆずが歌う「未来」 横浜開港50周年記念の「横浜市歌」100周年の「歓喜の港」と話が進み、ようやく150周年の今年にたどり着いた。今年の開国博のテーマソングは、人気デュオゆずが歌う「未来」である。 今回の歌に、横浜という地名は現れない。海、…

祝!横浜開港150周年! 4

開港100年 歓喜の港 高木東六作曲によるこの曲は、残念ながら前述の「横浜市歌」のように広く愛唱された形跡がない。今回、開港150年に際し、横浜にちなんだ歌はないのかと探していた方が、あたかも倉庫の奥底に眠っていた骨董品を開くように、見つけ…

祝!横浜開港150周年! 3

開港50年 100年前にできた横浜市歌作曲は、南能衛 1909年当時東京音楽学校助教授である。南能衛の曲として伝わる曲には、文部省唱歌で「村の鍛冶屋」や「村祭り」がある。 ただし、文部省唱歌については、作曲者・作詞者を特定することが困難であり…

祝!横浜開港150周年! 2

港ができる前の横浜って? 筆者は、横浜市に住み、横浜市に勤務している。横浜市という日本を代表する巨大な都市が「開港」というきっかけ抜きにしては、今ほどに成立発展することは、あり得なかったのは、まったくたしかなことだろう。 横浜市の子ども達は…

祝!横浜開港150周年! 1

今を去ること20年前、現在の横浜はみなとみらい地区で、バブル景気を味方につけてド派手なイベントが開かれていた。その名も、YES 横浜博。開港130年、市制100年を記念して開かれたこの博覧会は、地方博としては破格の規模で開催された。場内には…

ほいほいおじさんとハードロックを聴こう 6

ディープ・パープル ここまでレッド・ツェッペリンやクリームについて話してきたのだが、要するにハード・ロックとは何なのか?それは、およそ次のような要件を満たした音楽と言えるのではないだろうか? ① 聴衆が耳を塞ごうが、そんなことはお構いなし。基…

ほいほいおじさんとハードロックを聴こう 5

クリームの素晴らしき世界 ツェッペリンの話を切り上げて、次に紹介するのが「クリーム」。今までツェッペリンの演奏能力の高さについて、言及してきたけれど、こと演奏技能に関しては、それに勝るとも劣らぬ実力を持ったバンドが、このクリームである。そも…

ほいほいおじさんとハードロックを聴こう 4

レッド・ツェッペリンの快進撃! ロックが好き、いや音楽が好きな若者であれば、誰しも、まるで熱病にでも浮かされたかのように、あるバンドや歌手に病みつきになった経験があるだろう。60年代であれば、ビートルズやストーンズ(言わずとしれたローリング…

ほいほいおじさんとハードロックを聴こう 3

レッド・ツェッペリンのデビューアルバム! 60年代ヤードバーズというロックが好きな人には、たまらないグループがあった。そのグループでギタリストを務めた3人は、そのまま三大ギタリストと讃えられることになる。すなわちエリック・クラプトン、ジェフ…