オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

2011-01-01から1年間の記事一覧

ミューズの神が宿る時1 子守歌(前)

「ベルタ」、それは、ヨハネスにとって、なつかしさがこみ上げてくる名前だった。実業家の元に嫁した彼女が次男を出産したというニュースが伝わってきたのだ。 そう彼女との出会いは、もう10年も昔に遡るだろうか?ニ短調ピアノ協奏曲の評価が一向に芳しく…

ルネサンス音楽の喜悦 6 ヴィクトリア再会

30数年の時を経て、ヴィクトリアの宗教曲と再会している。今度は名曲「アヴェ マリア」である。皆川達夫先生による「ルネッサンス合唱名曲選」はこの時代の音楽へアプローチする際の、またとないガイドブックだが、その第1集「スペイン宗教曲集」の冒頭を…

ルネサンス音楽の喜悦 5 ヴィクトリアから始まった

またもや学生時代の話で恐縮だが、先輩の強引な?勧誘により男声合唱団に入ってしまった私は、そこで聴いたことがなかった不思議な曲と出会う。曲名は「大いなる奇蹟」、作曲者は、トーマス・ヴィクトリア。ミサ曲であるという。 カトリックの学校でもない大…

ルネサンス音楽の喜悦 4 パレストリーナを味わう

さて、履歴を辿ってきたが、先にもふれたように今近所の合唱団でパレストリーナを歌っている。パートはテナーだ。 歌っていて、これだけ心地よく、大げさに言えば天にも昇る気持ちにさせてくれる音楽は、パレストリーナをおいて、他にはない。私にとって紛れ…

小休止 最近のCMから

ルネサンス音楽の話は、もう少し続けたいのだが、小休止して最近TVから聞こえてきたCMの話題を一つ。 「おやっ?」と耳をそばだてたのは、桧家住宅のCM。御存知イタリア民謡(正確にはケーブルカーのCMソング)「フニクリ フニクラ」を替え歌にして…

ルネサンス音楽の喜悦 3 パレストリーナと向き合う

次にパレストリーナとの関わりは、私がいくつかの地域合唱団の指揮者をしていた頃の話になる。「バビロン・・」「谷川・・」などのモテットや「ミサ・ブレヴィス」を採り上げ演奏した。 前者のモテットは、公開で演奏したことがない。練習で採り上げた曲は、…

ルネサンス音楽の喜悦 2 パレストリーナとの出会い

バロック音楽を語るときに、バッハやモンテヴェルディを外すわけにはいかないように、古典派の名前の真っ先に、ベ−トーヴェンやモーツァルトが出てくるように、私にとって、ルネサンス音楽の始めにパレストリーナやヴィクトリアが挙がることは、極めて自然な…

ルネサンス音楽の喜悦 1

不協和を避け、棘のある主張はとりあえず傍らに置いておき、美しい響きで人の心に届く言葉を歌う。身の回りから聴こえてくる音楽に何と耳障りのよい音楽が多いことか!毎食アイスクリームやケーキを食べ続けていると、当然の報いとして肥満してしまうように…

静かにひとり演歌を口ずさむ時3 〜三善 英史〜

「あめに ぬれながら たたずむ人がいる」 AKBやらEXILEが脚光を浴びている時代に、演歌歌手の話題などを平然と採り上げているのも、アナクロと言えば、そうなのかもしれない。 演歌受難の時代が、いつ頃から始まったものなのか・・?ただ、表題の歌…

静かにひとり演歌を口ずさむ時2 〜八代 亜紀〜

「しみじみ飲めば しみじみと・・」 所詮、お祭りなので気にしている人などいないだろうが、ここ数年「紅白歌合戦」は、紅組連敗中である。 おじさんは、思う。「八代亜紀を出さないからだ」と。NHKは、ここ数年来の出場から洩れた非礼を詫び、本人に是が…

静かにひとり演歌を口ずさむ時1 〜ちあきなおみ〜

「いつものように 幕が開き・・・」 演歌の話題は、自分には、まだ早いとかなり意図的に遠ざけてきた感がある。中学生の頃「喝采」がヒットし、レコード大賞を受賞した頃の話である。当時私が通っていた中学校に「ちあきなおみ」が在籍していたという噂が流…

題名のない音楽会 佐渡裕+辻井伸行によるチャイコフスキー

日曜日の朝は、日曜美術館か題名のない音楽会を観ている。3月20日は、「題名のない・・」をつけると、辻井伸行がチャイコフスキーのピアノ協奏曲を弾いている。ピアノの向こうでタクトをとっているのは、番組の司会者でもある佐渡裕のようだ。 二人とも自…

編曲の達人たち4「エリーゼのために」の場合

3月11日(金)午後2時50分未曾有の大地震と巨大津波が東日本を襲った。被災された皆様の御無事をお祈りするとともに、一刻も早い救援・支援に向けた活動を心から願う次第であります。 当日、筆者の勤務先は停電であったため、ラジオの音声だけが暗闇の…

編曲の達人たち3「最上川舟歌」の場合

また、TV番組の話で恐縮だが、「いい旅夢気分」と言う番組が好きで、よく観ている。この前は、具志堅用高と片岡鶴太郎が山形を旅しており、番組から正調の最上川舟歌が聞こえてきた。 松尾芭蕉ゆかりの最上川だが、「最上川舟歌」を芭蕉は聴いていない。現…

編曲の達人たち2「展覧会の絵」の場合

ネプチューンの司会進行で「なるほど珍百景」という驚きの風景を、日本各地から集めて放映している番組がある。その中に、珍百景に画面が近づいていく時の音楽が、表題の「展覧会の絵」から「キエフの大門」の後半部分である。 「展覧会の絵」という組曲は、…

編曲の達人たち1 「恋は水色」の場合

我が家に届く某新聞の日曜版に「うたの旅人」という記事があり、時折読んでいる。先日は、ポール・モーリアの「恋はみずいろ」だった。 元を正せば、ギリシャの女性歌手ヴィッキーが歌って、そこそこのヒットを飛ばしたという歌の主旋律は、シンプル極まりな…

ピアノのメーカーに対する小さな考察ー3

ありきたりに言われる世界の三大ピアノメーカーは、スタインウェイ、ベヒシュタイン、ベーゼンドルファーの三社である。そのうち、日本では、ほとんど、ベヒシュタインやベーゼンドルファーの音色を楽しむことができない。 それでいいのか! ピアノという楽…

ピアノのメーカーに対する小さな考察ー2

1月に代々木の国立青少年センターで、とある大学の合唱団の演奏会を聴いた。第1ステージの演奏は、ピアノ2台の伴奏を伴う演奏で、右手のピアノがスタインウェイであることは、すぐわかったのだが左のピアノの音色が気になる。音の色が明らかに違うのであ…

ピアノのメーカーに対する小さな考察ー1

当たり前の話である。楽器の音色は作られたメーカーによって音色が異なる。典型的な例としてヴァイオリンのストラディバリウスの名を挙げることができるだろうが、その楽器でしか表出できない音色があるからこそ、奏者はそのメーカーにこだわるのである。 し…

ちょいと重いシュトラウス

例年年明けは、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートを聴いている。今年の指揮者は、ウェルザー・メスト。ウィーン国立歌劇場の音楽監督である。昨年の指揮者が、85歳の高齢を押して、プレートル氏だったことを考えると、随分若返った。ただ、プレート…

シャルパンティエ「真夜中のミサ」を聴く。

バロック期の合唱曲を中心に演奏している合唱団が地域にあり、昨年の暮れ演奏会を聴きに行った。 仕事が終わらず、途中からの入場になってしまったのが、入っていくとちょうどモンテヴェルディの「マニフィカート」の演奏が始まるところだった。豊かな旋律の…

音楽で飯が食えるのか?ー5 未来への期待

書籍の世界で「電子書籍への版権の移動」が話題になっているらしい。また 最初から電子媒体を前提に作品を書く作家も現れていると言う。 書籍よりも遥かに早い時期から、大量の音楽がインターネットで流通している。その結果としてレコード屋という商売は、…

音楽で飯が食えるのか?ー4 音楽を志すということ

演奏家を目指して、音楽大学で学ぶ。でも、膨大な卒業生のうち、実際に音楽演奏だけで「飯を食っている」人が、どのくらいいるのだろう?大概は、演奏活動の傍らで「先生」をしながら、生活の糧を得ているように思う。 気の合った仲間とバンドを組んで、活動…