オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

2022-01-01から1年間の記事一覧

オヤジのあくび490

坂東三津五郎「踊りの愉しみ」を読む 踊りを観る前に、出→くどき→手踊り→段切れ という流れを知っていれば、もう少し今の踊りはどこの部分なのかな? という見方ができるでしょう。 琵琶歌だつて、前語り、本語り、吟変わり、崩れ、後語りの部分と地、中干、…

オヤジのあくび489

宮尾慈良「世界の民族舞踊」を読む 私が小学生の頃「ワルツは三拍子」と教わった記憶があります。間違えてはいないのですが、ひっくり返して「三拍子はワルツ」ではありません。音楽の鑑賞曲には「メヌエット」が登場するのですが、三拍子にはメヌエットやマ…

オヤジのあくび488

紙屋高雪「どこまでやるか、町内会」を読む 自治会は、ゴミ、防犯防災、イベント、調査など、実に多くの活動を行政の下請け的に担っている。しかも無報酬。 本書の前半は、自治会・町内会の活動が「本当に法律の裏付けがある義務なのか?」を検証しています…

オヤジのあくび487

白石仁章「戦争と諜報外交」を読む4 最終章は、杉原千畝。この素晴らしい外交官については、何千人ものユダヤ人を救ったエピソードを中心に据えて多くの書が出ている。 おえコラの練習は早稲田の東京コンサーツという会場を使うことがある。この辺りの建物を…

オヤジのあくび486

白石仁章「戦争と諜報外交」を読む3 どういう場面に居合わせたか? 外交官としての運命や評価に大きく関わる。そして最終的な判断は、本国にいる外務大臣を始めとする政府の意向なのだ。ここに外交官としての葛藤があり、本意ではない行動を強いられることも…

オヤジのあくび485

白石仁章「戦争と諜報外交」を読む2 続けて本書には杉村陽太郎が登場する。国際連盟事務次長を務めた新渡戸稲造はお札の肖像画にもなり有名だが、その後任者が杉村なのだ。サイレントパートナーと揶揄されながら、常任理事国になった日本。杉村は事務次長と…

オヤジのあくび484

白石仁章「戦争と諜報外交」を読む1 日本が世界に伍して、大国としてのパフォーマンスを求められた場面として、本書では第一次世界大戦後のヴェルサイユ会議に「五大国」の一つとして列席した場面を挙げている。アメリカやイギリスがいくつものホテルを借り…

オヤジのあくび483

藪中三十二「世界に負けない日本」を読む2 外交のニュースは日々流れているけれど、どこを強調するか? によって受け止め方がだいぶ変わってくる。例えば尖閣諸島の近くを中国の船が航行したことは、よくニュースになるが、その向こうの海で行われている油田…

オヤジのあくび482

藪中三十二「世界に負けない日本」を読む1 始めに英語力の話が登場する。「中学3年生の英語の教科書を丸暗記していればそれでいい」らしい。ではその後も続く高校でのいわゆる受験英語や大学での英語は何だったのだろう? ところで藪中さんは日本の大学を卒…

オヤジのあくび481

佐藤和孝「戦場でメシを食う」を読む3 無政府主義者=アナーキストとは所詮現在の体制を批判して新しい秩序を求めているだけなのかなぁと感じた。本書のアルバニアの章を読んでそう感じたのだ。独裁社会主義国のアルバニアは長い間鎖国していた。だから海の対…

オヤジのあくび480

佐藤和孝「戦場でメシを食う」を読む2 話題はサラエボに移動する。以前緒方貞子さん関連の本を読んだ時に凄まじい内戦の様子が記されていたことを思い出した。サラエボは1984年冬季オリンピックの開催地だが、それから10年も経たないうちに内戦によって街が…

オヤジのあくび479

佐藤和孝「戦場でメシを食う」を読む1 タイトルの付け方は「?」な感じを抱かせる。けれどどんな状況下でも、人は食べ物のことを考え続けている。むしろ極限まで追い込まれているからこそメシのことが最重要なのだろう。テレビにもよく登場した筆者だけど、…

オヤジのあくび478

鳥居徳敏「ガウディ」を読む このちくまプリマー新書はシリーズものになっていて「よみがえる天才6」としてガウディが取り上げられている。誰もが真似したくてもできない資質才能とそれが発揮された表現を以て、天才と呼ばれるのだろう。ガウディの平曲面や…

オヤジのあくび477

小松茂美「利休の死」を読む 利休は正親町天皇から64歳の時に贈られた名前で、19歳からそれまでは宗易を名乗っていた。便宜上本稿では利休で通します。ちなみに筆者は古筆学を職とされていた方なので、本書は利休の手紙など実際の文献をもとに語られている。…

オヤジのあくび476

ゴードン・S.ウッド「アメリカ独立革命」を読む3 「人は生まれながらにして平等」「ある人々と別の人々との違いは能力を向上させる機会の違いにのみ由来する」つまるところ教育と修養によって人の違いが生まれるという議論は、教育の機会均等をどう担保した…

オヤジのあくび475

ゴードン・S.ウッド「アメリカ独立革命」を読む2 ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカは、アメリカ諸邦連合と訳すべきなのかもしれないが、日本にいるとホワイトハウスの動きばかりが報道されるので、中央集権的に見えてしまう。EU的な主権国家の結びつ…

オヤジのあくび474

ゴードン・S.ウッド「アメリカ独立革命」を読む1 小学校4年の音楽の教科書に、チェロキー族の「朝の歌」が突然登場する。ネイティブ・アメリカンの一部族で白人の侵略に抵抗していた人々だが、当時の北アメリカの状況について教科書には何も説明がない。植民…

オヤジのあくび473

宇都宮芳明「ヤスパース」を読む2 人間を超えた超越者を想定して実存について語る哲学者を有神論的実存主義と呼び、キルケゴールや今回のヤスパースはこちらに篩い分けられる。反対に超越者などいないという立ち位置を無神論的実存主義と呼び、ニーチェ、ハ…

オヤジのあくび472

宇都宮芳明「ヤスパース」を読む1 ヤスパースは、始め法学を学ぶが、医学に転じて「精神病理学総論」を著す。その後ハイデルベルグ大学で心理学の講義を担当することになる。このハイデルベルグでマックス・ウェーバーに出会う。そして彼を哲学者として評価…

オヤジのあくび471

森分大輔「ハンナ・アーレント」2 革命という名の元に人類はいったいどれだけの血を流してきたことか! 貧窮を解消するというスローガンの元に暴力自体が目的化してしまった事例を私たちは歴史で学んでいる。貧窮ではなく自由の獲得という意味で、アーレント…

オヤジのあくび470

森分大輔「ハンナ・アーレント」1 「私たちの思考の主題は何でしょうか。経験、これだけです。」そして現実と向き合うことなく抽象的観念の世界に立てこもってしまう態度を「世界疎外」と呼び、批判した。 まず本書は、アーレントが哲学者ハイデガーの不倫相…

オヤジのあくび469

下重暁子「天邪鬼のすすめ」 天邪鬼という言葉は、NHK名古屋放送局で野際陽子さんと同僚だった時代、野際さんと同じことを真似しようと思っても仕方がないと感じたところで、初めて登場する。 二回目は、東京放送局の頃、海外に行きたかった場面。三回目は「…

ワンピースのオヤジキャラたち2

「そんなに怖いか、新時代が」シャンクス自身も十分にオヤジなのだが、一体何を予感予想しているのだろうか? そろそろ引き際を考えておいたほうがよさそうな我が身を重ねて、次の展開が待ち遠しい。 ワンピースには、既得権益を持っているオヤジたちが、そ…

オヤジのあくび468

京浜急行から緩急の切り替えを学ぶ 今は通勤に京浜急行を使っている。東京へ男声合唱団の練習に行く時も京浜急行にできる限り乗っている。何が好きなのか? と問われれば、あの加速感と車窓のミスマッチなのだ。 後続車に追い付かれないように、逃げ切る急加…

ワンピースのオヤジキャラたち

ルフィを中心とするストーリーの核をなすキャラは若者だが、その周辺に目を離せないオヤジキャラがいる。海軍の英雄でありながら出世を拒み、どこまで強いのかわからないガーブ中将。その息子でルフィの父親であるドラゴン。そもそも海軍幹部の子が革命軍の…

オヤジのあくび467

野口雅弘「マックス・ウェーバー」を読む3 本書の副題は「近代と格闘した思想家」。あとがきでも触れているが、著者は丁寧にウェーバーの時代に生きていた思想家との接点や没後の解釈や読まれ方を分析している。思想履歴が長大であるが故に、その一部だけが…

オヤジのあくび466

野口雅弘「マックス・ウェーバー」を読む2 ウェーバーは「魔法が解ける」という言葉をよく使った。今まで分からなかった現象を数式や一定の法則で解けるようになったことは、社会の近代化を大きく後押しし続けている。ところがウェーバーの思考は、宗教へと…

オヤジのあくび465

野口雅弘「マックス・ウェーバー」を読む1 今マックス・ウェーバーと言えば、社会学という学問と印象が重なるけど、元々ハイデルベルグ大学で彼が学んでいたのは、法学なのです。そもそも社会学という学問が広く認知される以前でもあったのですが・・・。彼…

オヤジのあくび464

宮本亜門「アライブALIVE」を読む 本書は、冒頭から衝撃的であります。自作のミュージカルを引っ提げたアメリカ公演の直前に世界貿易センターのテロ事件が起こったのです。 この本は自伝ですから幼少期からの足跡を辿る訳です。演劇に開眼する前の宮本少年の…

オヤジのあくび463

姜尚中「在日」を読む 在日韓国朝鮮人に対する指紋押捺が問題視された1980年代の始め、私が受け持った学級にも通名で暮らす子どもがおり、卒業証書を本名で書くかどうかについて、家庭訪問していたことを思い出す。またその頃在日の人々が多く暮らす街で仕事…