オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

オヤジのあくび367

安部公房「笑う月」を読む2 S・カルマ氏に描かれるマネキンや駱駝に対する偏愛は、どこからくるのか? 本書「シャボン玉の皮」では、ゴミに対する執着心が大きなスケールで記されている。 「廃物」は「有用性」に屈服したりすることは不可能だろう。・・・ゴ…

オヤジのあくび366

安部公房「笑う月」を読む1 夢の話である。タイトルの笑う月とか、かさぶただらけの化け物とか、悪夢に苛まれた体験が語られる。ボクも子どもの頃怖い夢をよく見た。柱時計の前に骸骨が立っていて、時計の針の進み方変になってしまう夢とか、黒い球体状のも…

オヤジのあくび365

名作を読む91 モリエール短編集を読む タルチュフ 振り込め詐欺、オレオレ詐欺、給付金詐欺、詐欺のニュースを耳にしない日はないくらい世の中は詐欺事件で溢れ返っているし、実際撲滅できない。 タルチュフは、司祭に扮した詐欺師で、人の信仰心を弄び、財…

オヤジのあくび364

名作を読む90 A・フランス作「少年少女」を読む ありふれたと言えば、たしかにどこにでもあるような子どもたちの様子を描いた作品です。 「学校」という話にローズ・ブノアという子が出てくる。算数は苦手みたいだが、動物を愛し、彼らの言葉がわかるつもり…

オヤジのあくび363

名作を読む89 オー=ヘンリー短編集を読む 起承転結のうち、キモは「転」。4コマ漫画だって3コマ目からが勝負だ。結まで引っ張らないで、転のまま終わるのもあり。うんと若い頃にシナリオセンターで教わった記憶が蘇ってきた。 この短編集にはご存知のクリス…

オヤジのあくび362

名作を読む88 モンゴメリー作「赤毛のアン」を読む 今回は「赤毛のアン」。言わずと知れた不朽の名作ですね。この感情の振幅が大きく、想像の世界に没入しがちなアンに読者は共感し、アンといっしょに泣いたり怒ったりするわけです。 だいたいこの話には、失…

オヤジのあくび361

名作を読む87 ドッジ作「銀のスケートぐつ」を読む 父親が事故で記憶と体の自由を失ってしまった家庭の話。やがてあるお医者様との出会いを通して、父親は手術を経て快方へ向かう。タイトルである銀のスケートが商品となったスケート大会を絡めながら、話は…

オヤジのあくび360

名作を読む86 J・C・ハリス作「リーマスおじさん」を読む。 グリム兄弟や松谷みよ子が民話を集めていたように、J・C・ハリスはアメリカ南部の黒人の間に伝わる話を集めていました。語り手は、そうリーマスおじさんです。 登場する動物は、うさぎ、うさぎに騙…

オヤジのあくび359

名作を読む85 マーク・トゥエイン作「はねがえる」を読む いたずらって、憎めない時がある。マーク・トゥエインの作品は、いたずら坊主のトム・ソーヤーと言い、王子とこじきの取り替え物語と言い、いたずらがいっぱいだ。この話もいたずらや賭け事に関する…

オヤジのあくび358

「お行儀」は、もはや死語なのだろうか? マナーは行儀と意味が重なるけれど、カタカナ語では伝えられない日本的な立ち居振る舞いが、きっとあったはず。お行儀という言葉は、行儀よくしなさい! とか、行儀が悪いわよ! などと子どもたちが叱られる場面でさ…

オヤジのあくび357

名作を読む84 エドガー・アラン・ポー作「盗まれた手紙」を読む 「ボクのこと、褒めてよ! お願い褒めて!」とせがむ子を煙たがる大人は多いだろう。警視総監が持て余している難事件に立ち向かうデュパンと大臣の知恵比べには、背景にそんな心理が動いている…

オヤジのあくび356

名作を読む83 エドガー・アラン・ポー作「こがね虫」を読む 名探偵コナンくんの苗字は、江戸川。もちろん江戸川乱歩、もっと辿れば本編の作者エドガーからいただいている。 推理小説のおもしろさは、謎解きをたどることでしょう。海賊キッドの秘宝のありかを…

オヤジのあくび355

名作を読む82-2 デフォー作「ロビンソン=クルーソー」を読む2 流石に二十何年も一人きりでは哀れと思ったのか、作者はフライデーという友人を物語に登場させる。そこから先は、話は外界との交流が描かれ始め、お決まりのハラハラドキドキの展開。ロビンソン…

オヤジのあくび354

名作を読む82 デフォー作「ロビンソン=クルーソー」を読む1 古今の名作の中でも、かなり特異なストーリーであります。無人島に辿り着いてからのロビンソンは一人きりで、あとは犬が一匹。物語というのは登場人物がドヤドヤ出てきてナンボの世界なのに、いな…

オヤジのあくび353

名作を読む81 フィールディング作「トム=ジョーンズ物語」を読む 物語の筋とまるで関係がないのだけど、横浜市には三日里親という制度がある。いろいろな事情で家族と離れて施設で暮らしている子どもに家庭的な雰囲気を体験してもらおうという趣旨で、もう二…