オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

オヤジのあくび382

高秀秀信「元気都市ヨコハマを創る」を読む1 およそ30年前、個人的にはようやく結婚し子どもが生まれ、音楽の先生になってしまった、もとい、やらせていただいた時代が、高秀市政の10年と重なっていた。巨大なサッカースタジアムやみなとみらい地区の建設を…

オヤジのあくび381

大谷能生「平成日本の音楽の教科書」を読む2 音楽教育の話は、中学校へと移行していく。おっとりと筆を進めていた筆者は、突然自身が中学生に戻ったように、伝統音楽学習や従来型の西洋音楽学習の問題点を指摘し始める。まるで思春期の屁理屈をこねくり回し…

オヤジのあくび380

大谷能生「平成日本の音楽の教科書」を読む1 音楽が好きですか? と尋ねたら、かなり大勢の人が好きと答えるだろう。では音楽が得意ですか? と聞くと、かなり首を傾げて手を挙げる人が減ってしまうと思う。もっと突っ込んで、学校の音楽の授業が楽しかった…

オヤジのあくび379

野並豊「大正浜っ子奮闘記」を読む3 駅弁。現在は駅構内で買って列車に乗り込むスタイルだけど、昔は列車の窓が開いて、弁当の売り子さんを呼べたものだ。また停車時間も今よりは長く、その間にプラットホームへ買いに行くことができたと思う。なぜ変わって…

オヤジのあくび378

野並豊「大正浜っ子奮闘記」を読む2 崎陽軒と言えば、売り子さんが真っ赤なユニフォームに身を包み、シウマイ娘と呼ばれている。昭和25年、煙草の宣伝をしていたピース娘にヒントを得た社長は、シウマイ娘を横浜駅の駅等に立てる。その後昭和27年毎日新聞に…

オヤジのあくび377

野並豊「大正浜っ子奮闘記」を読む1 若い頃は、仕事が引けると仲間たちと連れ立って、よく飲み食べ、そして歌っていた。そのうちの一軒がN飯店で、シューマイがとてもおいしかった。何でも崎陽軒のシウマイの味を自分なりに研究したとご主人が話していた。 …

オヤジのあくび376

名作を読む95 ホフマン作「くるみ割り人形」を読む 先日読んだゲーテの「君よ知るや南の国」では演劇好きの主人公が、オペラ興行に消極的になる様子が描かれている。この物語の場合はチャイコフスキーによってバレエのための音楽が作曲され、むしろその方が…

オヤジのあくび375

名作を読む94 ゲーテ作「君よ知るや南の国」を読む 原題は「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」というもっとずっと長い物語で、主人公が少女ミニヨンと出会った場面だけを、少年少女向けに抜き出してある。 父の言いつけで商いの旅に出た若者が、行く先々…

オヤジのあくび374

名作を読む93 ルルー作「黄色のへや」を読む さて推理小説の読後感をSNSに投稿するのは、意外に難しい。ネタバレと紙一重なりかねないからだ。推理小説の面白さは最後のどんでん返しに集約されているわけで、そこまで読み切って「あっ」と読者を驚かせる仕掛…

オヤジのあくび373

名作を読む92 ロスタン作「シラノ=ド=ベルジュラック」を読む シラノは、感情の振幅が大きい男だ。自分の鼻の形が醜いと、抜き差し難いコンプレックスを抱えている。剣を手にすれば無双の達人なのだが、相手とやり合うきっかけも自分の鼻を馬鹿にされたこと…

オヤジのあくび372

忍者の戦い方 忍者にとって大切なのは匿名性。漫画のヒーローではないので、どこの誰がどんなことをしているか、わかってしまっては忍びにならないのだ。唯一の例外は徳川家召し抱えの服部半蔵くらいだろうか? だから漫画では果敢に敵と戦うシーンが出てく…

オヤジのあくび371

忍者と修験道 ネタの仕入れ先は、吾妻線群馬原町駅前にある忍者ステーション。展示資料によれば、真田の忍者は修験道信仰と関係が深いと言う。 あの山伏姿で山から山へと渡り歩き修行を積む修験者であります。その信仰が厚かったのが、群馬県、今の東吾妻。…

オヤジのあくび370

城山三郎「官僚たちの夏」を読む2 規制撤廃〜行政指導という流れの延長で、行政と企業活動の関わり方はどうあればいいのか? これが本書を流れる一貫したテーマ。もう少し大袈裟に力めば、天下国家を論じる通産官僚の消長。 自意識過剰的に自分の責任と能力…

オヤジのあくび369

城山三郎「官僚たちの夏」を読む1 一応は私も地方公務員の末端=教員のくせに、官僚という人種と仕事上はあまり上手くお付き合いできなかった。教育に関して体験的に言えば、行政と教育現場の間には埋め難いギャップがあると感じている。 ギャップを生んでし…

オヤジのあくび368

村上春樹「1973年のピンボール」を読む 現代小説の感想を「オヤジのあくび」には、ほとんど書いていない。前回の安部公房に続いて、村上春樹も初登場。 初めて読んだ数十年前の印象だけど、外国文学を翻訳しているような乾いた文体に、日本文学の湿っぽさと…