オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

2023-01-01から1年間の記事一覧

オヤジのあくび569

青木栄一「文部科学省」を読む2 文科省と教育現場のギクシャクぶりは、日教組vs文部省+中教審の時代、ゆとり教育から学力向上への大転換期、肝心の制度や予算が中央集権なので今後もずっと続くのだろう。 さて教員の待遇について。40年以上放置されてきた給…

オヤジのあくび568

青木栄一「文部科学省」を読む1 学校にいただくご相談で、埒が開かないと「教育委員会に電話する!」と曰う方がいらっしゃる。けれど「文科省に電話する!」という電話を受けた経験はない。この一種ヒエラルキーのような仕組みは何なのだ? もう一つ疑問に感…

オヤジのあくび567

W•T•へーガン「アメリカ・インディアン史」を読む2 ハリウッドで製作された映画は、インディアンへの偏見に満ちていて、振り返ると無邪気で考えのない子どもたちに「インディアン=怖い人」という先入観を植え付けていた。ボク自身だってそうだ。マーロン・ブ…

オヤジのあくび566

W•T•へーガン「アメリカ・インディアン史」を読む1 本書では、アラスカ州のエスキモーやハワイ州の先住民は含んでいない。それでも600を優に越える部族が暮らしていたのだ。一つの政治理念の元に統一されていたわけではない。それぞれの部族ごとの暮らし方や…

オヤジのあくび565

若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む3 世界史の学習法は人それぞれだろうが、勉強の入口は世界地図を頭に思い描きながら、その地域の統治機構がどのように移行していったのかを辿る方法だろう。だから○○朝ペルシアだとか△△王国など覚えるところから始まる…

オヤジのあくび564

若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む2 音楽の歴史というと、音楽の父母であるらしいバッハ・ヘンデルあたり、1700年代の後期バロックから連なる西ヨーロッパの大作曲家の作品群を連想してしまう。また知識の範囲が特定地域と特定時代に偏ってしまっている…

オヤジのあくび563

若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む1 本書は「入門」というタイトルが付けられているが、その網羅する範囲は極めて広く且つかなり深い。およそ世界中で演奏されている楽器を全て紹介しようと試みているかのようです。 この手の図書に出くわした時、私の…

オヤジのあくび562

田中優子「江戸の音」を読む 広辞苑によると音楽は「音による芸術」。ここからはボクの理解だけど、音楽のうち西洋の片隅で進化発展した表現は、理路整然とリズム・メロディー・ハーモニーを奏で、世界中を圧倒的している。ベリーによる開国以降の日本も圧倒…

オヤジのあくび561

田勢康弘「島倉千代子という人生」を読む2 島倉千代子は色紙に「まず 動け」と書く。およそ流行歌手らしくない。けれど芸能界の荒波を乗り越えてきた芯の強さが感じられる。 天才少女歌手美空ひばりに憧れて(歌手になってからも島倉はずっと「ひばり先輩」を…

オヤジのあくび560

田勢康弘「島倉千代子という人生」を読む1 昭和29年コロムビア歌謡コンクールでの優勝をきっかけに歌手デビューしている。そのコンクールで歌った曲が「涙のグラス」。鳴海日出夫という男性歌手の歌であった。東京地区予選で優勝した時、作曲家万城目正は「…

オヤジのあくび559

古賀慎一郎「ちあきなおみ 沈黙の理由」を読む2 本書は、夫でありマネージャーであり社長である郷さんの闘病と癌の進行を、付き人目線で綴っている。夫婦の近くに見舞いに訪れる宍戸錠が登場する。郷さんの実兄なのだ。邪推に過ぎないが、夫婦二人の強過ぎる…

オヤジのあくび558

古賀慎一郎「ちあきなおみ 沈黙の理由」を読む1 筆者は8年間ちあきなおみの付き人をしていた人。ちあきなおみのパートナーである郷さんとの思い出や仕事上の失敗談を語っている。 ちあきなおみが「朝日のあたる家」をマイクなしで歌う場面が出てくる。YouTub…

オヤジのあくび557

高齢者の経験や知恵を、どのように伝え引き継げるか? 中国語で教師は老師。日本語の先生は、いろいろな立場の人に使われているけれど、老師は学校の先生だけ。まだ教員になりたての頃は、60歳以降のことなんて考えられなかったが、実際に66才の今年の3月ま…

オヤジのあくび556

ヨハン・ガルトゥング「日本人のための平和論」を読む2 領土をめぐる緊張関係について、日本周辺で言えば、尖閣諸島や北方四島の問題について共同所有や共同管理という方法を、著者は提案する。国家同士が領土を巡って対立し戦争が起きているが、それ以前に…

オヤジのあくび555

ヨハン・ガルトゥング「日本人のための平和論」を読む1 不可逆=元に戻せない判断や行動から作者は語り始める。戦争は多くの命を奪い、その命は二度と戻ってこない。アメリカと一体化することこそが日本を守る唯一の方法であると多くの日本人が、少なくとも政…

オヤジのあくび554

鎌倉武士は将軍から賜った土地を守るために一所懸命戦ったという。権利者の系譜はそれほど重要でなかったので、北条政子の泣き顔に騙され、上皇軍に刃向かってしまった。日本史上宮家が率いる軍と一般ピープルが戦い、しかも勝ってしまうという前例のないこ…

オヤジのあくび553

小林よしのり「新戦争論」を読む。 アフォリズム。警句を並べ立てて読者を煽り立てるのは著者の得意技だ。目立ってしまうが故に、対立する人々に事欠かずネトウヨを始め、氏の意見から派生する様々な動きとの軋轢を体験的に描いている。けれども戦争の反対は…

オヤジのあくび552

加藤周一「梁塵秘抄」を読む2 源平の時代を取り上げたドラマには、必ず権謀術数に長けた後白河法皇が登場する。日本の経済や統治機構をどのように変えたいとか、清盛や頼朝のような政治信念はない。権力維持のための院宣乱発、だから歴史を変えた人としては…

オヤジのあくび551

加藤周一「梁塵秘抄」を読む1 大河ドラマなどで平安期の歌舞の場面が出てくると、踊っているのは白拍子である。加藤さんは、今様を歌っていた人々として他に傀儡子(くぐつ)がいたと言う。人形遣いの人々のことであろう。梁塵秘抄は彼らの歌謡だったのだ。だ…

オヤジのあくび550

諏訪正樹「身体が生み出すクリエイティブ」を読む2 「身体で触れるように世界に接する」ことで、手持ちの知識やスキーマと呼ぶ行為パターンから抜けることが可能だと著者はいう。体感を言葉に置き換えておくことの意義を語る。体験が経験になる、現象学的に…

オヤジのあくび549

諏訪正樹「身体が生み出すクリエイティブ」を読む1 漫才のボケを例にして、普通は想定しないものごとにパッと「跳ぶ」。目のつけどころが良くて新しい視点をもたらすことは、クリエイティブであることの必要条件だと言う。しかし「跳ぶ」ことはあくまでも結…

オヤジのあくび548

小西正一「小鳥はなぜ歌うのか」を読む2 「どこでどう鳴くか?」は、周波数との関わりで説明してくれる。一般に森の中の小鳥は低周波で鳴く。高周波の声は樹々の枝に遮られて届かないからだそうだ。それよりも大切なのは、自分達を捕食するタカやフクロウか…

オヤジのあくび547

小西正一「小鳥はなぜ歌うのか」を読む1 普通、動物が声を発する時、それを鳴くとか吠えるとか言う。けれど小鳥の鳴き声は「歌う」なのだ。中世のヨーロッパ人は小鳥に鳴き声をフラジオレットで学習させようと企んだ。小動物とのコミュニケーションとして微…

オヤジのあくび546

近藤勝重「昭和歌謡は終わらない」を読む3 美空ひばり、俳優畑から石原裕次郎に高倉健、ちあきなおみ、北島三郎・・と昭和歌謡史を彩る歌手の思い出を語っていく。紹介される歌は、すぐに口ずさむことができるし、声や歌い回しも思い出せる。これが昭和歌謡…

オヤジのあくび545

近藤勝重「昭和歌謡は終わらない」を読む2 コロナ禍以来、電車やバスの窓が少し開いている。けれど元々は下から上に大きく開いて、旅行中は車内から駅弁を買っていたものだ。駅のプラットホームは今も昔もわかれの場だけれど、汽車なら間に合うのに電車は無…

オヤジのあくび544

近藤勝重「昭和歌謡は終わらない」を読む1 話は、石川さゆりの「天城越え」からスタートする。改めて歌詞を読むと何ともおどろおどろしい言葉が並んでいる。心の底に渦舞く情念を歌い上げる演歌は、やはり個人芸だと思う。せいぜいデュエットか? 日本の歌は…

オヤジのあくび543

洞口和夫「京急沿線謎解き散歩」を読む 謎解き散歩の難しさは、それが京急の謎なのか? その土地にまつわる謎なのか? 境界線が難しくその土地の話をするほど京急から話題が離れてしまう。 それでも現在に通じる話として感心したのは、関東大震災の十日後に…

オヤジのあくび542

岡田直 監修「地図で読み解く京急沿線」を読みながら、思い出すこと3 横須賀の叔父さんの家に行く楽しみに、大楠山ハイキングがあった。三浦半島最高峰の山に行くのだ。最高峰と言っても241mなのだが、まだ小さかったせいか、すごく楽しみにしていたことを思…

オヤジのあくび541

岡田直 監修「地図で読み解く京急沿線」を読みながら、思い出すこと2 上大岡には仕事を終えてから、よく飲みに行きました。WING開業で飲み屋街が無くなった後は、中央商店街に出かけていたものです。相鉄ジョイナスの地下にもありますが、ボクはカレーの「リ…

オヤジのあくび540

岡田直 監修「地図で読み解く京急沿線」を読みながら、思い出すこと1 まえがきより。阪神ファン、西武ファンと言えば、野球チームのファン。補足すれば一昔前の阪急ファン、南海ファンも同じ。けれど京急ファンと言えば、それは純粋に電車を愛する人々のこと…