オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

読書

オヤジのあくび583

伊藤悟「ひょっこりひょうたん島 熱中ノート」を読む 著者は「ひょっこりひょうたん島」を記録し尽くした少年です。ひょうたん島の放送回数は1224回。今ならスマホで動画撮影すれば済むようなことを、ひたすらセリフや字幕、背景、人形の動きをノートに書き…

オヤジのあくび582

桑田佳祐「ポップス歌手の耐えられない軽さ」を読む 桑田佳祐さんは茅ヶ崎で育ち、ボクは隣町の辻堂で育った。時代も重なっているので取り上げている音楽体験や、地域の雰囲気をボクも味わっている。だからこそかなり共感して読み進めることができる。 この…

オヤジのあくび581

安部龍太郎「海の十字架」を読む2 足利将軍による治世を終わらせたのは織田信長であるが、信長が上洛する前の洛中の支配者は三好長慶であり松永弾正であった。「蛍と水草」はその内部抗争を描いている。 三好兄弟が次から次へと銃撃され、全て松永弾正の思う…

オヤジのあくび580

安部龍太郎「海の十字架」を読む1 書名にもなっている大村純忠の物語は、ポルトガルの交易とセットになったイエズス会の布教を、いかに自身に有利な方向に利用するか? 戦国時代ならではの駆け引き劇が読者を楽しませる。少々怪しげなバルトロメオが、ストー…

オヤジのあくび579

安倍龍太郎、門井慶喜、畠中恵「歴史・時代小説教室」を読む 畠中さんは、作家自身が小説を書くために踏んでいるステップを惜しみなく公開している。それはほぼ一般化されたスキルなんだろうけれど、もちろん畠中さん独自の留意点も話されていて、何か書いて…

オヤジのあくび578

木村治美「六十代からのエッセイ教室」を読む 冒頭で日記とエッセイの違いについて、ふれている。エッセイは自分を客観視して、書かれている自分と書いている自分との間に距離を取るというのだ。だからこそ読み返しが可能であるし、読者を獲得できる。ボク自…

オヤジのあくび577

池田憲章・伊藤秀明「NHK連続人形劇のすべて」を読む やっぱり「ひょうたん島」の話から。「チロリン村」から続けて音楽を担当したのは宇野誠一郎さん。「真面目なものを真面目に」がチロリン村なら「真面目なものを不真面目に」がひょうたん島の精神だと話…

オヤジのあくび576

田中健次「図解 日本音楽史」を読む 自分が親しんでいる琵琶でさえ知らなかったことが多い。本書によれば、雅楽の楽琵琶はペルシャ起源で7〜8世紀にシルクロード〜中国経由で日本に伝えられた一方で、盲僧琵琶ルートは、インド起源で6世紀に三国時代の中国経…

オヤジのあくび575

増本喜久子「雅楽」を読む 雅楽と言えば、現代のテンポ・リズム感から遥かに遅い、まったりとした音楽という印象を持たれている方もいるだろう。けれど日々の言葉を発する速さや生活リズムそのものが、元々古代日本では非常にゆっくりしていたわけで、当時の…

オヤジのあくび574

菅野恵理子「MIT音楽の授業」を読む 音楽学科の開講科目は「文化・歴史」「作曲・理論」「音楽テクノロジー」「演奏演技(パフォーマンス)」の領域に分かれている。目を引くのは「文化・歴史」の領域に「ビートルズ」「ワールドミュージック入門」「アフリカ…

オヤジのあくび573

長友佑都「日本男児」を読む 熱い! 長友選手のエネルギーの源が、中学校時代のサッカー部顧問井上先生との出会いに見つけられる。ガキ大将だった小学校から両親の離婚という家庭環境の変化、そして地元有名チームのセレクション落ち、入った中学のサッカー…

オヤジのあくび572

33代 木村庄之助「力士の世界」を読む 幕内、十両など番付の話からスタート! 実際の取組表には、十枚目と書いてあり十両は強い力士に渡された給金が由来なのですね。幕内も、屋外興業であった大相撲で幕を張った休憩所に入ることを許されたからとか。 土俵…

オヤジのあくび571

門井慶喜「徳川家康の江戸プロジェクト」を読む 大河ドラマ「どうする家康」で描かれている通り、家康公の一生はギリギリの判断を迫られる場面の連続であった。江戸に本拠地を定めたのもその一つだろう。秀吉から関八州に国替えを命じられた家康は、なぜ江戸…

オヤジのあくび570

二宮敦人「最後の秘境 東京藝大」を読む 学生としてではなくて、小泉文夫記念資料室の見学者として音校キャンパスに入ったことがあります。練習室が並んでいたことや入口まで迎えに来ていただかないと入れなかったことを覚えています。しかしこのセキュリテ…

オヤジのあくび569

青木栄一「文部科学省」を読む2 文科省と教育現場のギクシャクぶりは、日教組vs文部省+中教審の時代、ゆとり教育から学力向上への大転換期、肝心の制度や予算が中央集権なので今後もずっと続くのだろう。 さて教員の待遇について。40年以上放置されてきた給…

オヤジのあくび568

青木栄一「文部科学省」を読む1 学校にいただくご相談で、埒が開かないと「教育委員会に電話する!」と曰う方がいらっしゃる。けれど「文科省に電話する!」という電話を受けた経験はない。この一種ヒエラルキーのような仕組みは何なのだ? もう一つ疑問に感…

オヤジのあくび567

W•T•へーガン「アメリカ・インディアン史」を読む2 ハリウッドで製作された映画は、インディアンへの偏見に満ちていて、振り返ると無邪気で考えのない子どもたちに「インディアン=怖い人」という先入観を植え付けていた。ボク自身だってそうだ。マーロン・ブ…

オヤジのあくび566

W•T•へーガン「アメリカ・インディアン史」を読む1 本書では、アラスカ州のエスキモーやハワイ州の先住民は含んでいない。それでも600を優に越える部族が暮らしていたのだ。一つの政治理念の元に統一されていたわけではない。それぞれの部族ごとの暮らし方や…

オヤジのあくび565

若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む3 世界史の学習法は人それぞれだろうが、勉強の入口は世界地図を頭に思い描きながら、その地域の統治機構がどのように移行していったのかを辿る方法だろう。だから○○朝ペルシアだとか△△王国など覚えるところから始まる…

オヤジのあくび564

若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む2 音楽の歴史というと、音楽の父母であるらしいバッハ・ヘンデルあたり、1700年代の後期バロックから連なる西ヨーロッパの大作曲家の作品群を連想してしまう。また知識の範囲が特定地域と特定時代に偏ってしまっている…

オヤジのあくび563

若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む1 本書は「入門」というタイトルが付けられているが、その網羅する範囲は極めて広く且つかなり深い。およそ世界中で演奏されている楽器を全て紹介しようと試みているかのようです。 この手の図書に出くわした時、私の…

オヤジのあくび562

田中優子「江戸の音」を読む 広辞苑によると音楽は「音による芸術」。ここからはボクの理解だけど、音楽のうち西洋の片隅で進化発展した表現は、理路整然とリズム・メロディー・ハーモニーを奏で、世界中を圧倒的している。ベリーによる開国以降の日本も圧倒…

オヤジのあくび561

田勢康弘「島倉千代子という人生」を読む2 島倉千代子は色紙に「まず 動け」と書く。およそ流行歌手らしくない。けれど芸能界の荒波を乗り越えてきた芯の強さが感じられる。 天才少女歌手美空ひばりに憧れて(歌手になってからも島倉はずっと「ひばり先輩」を…

オヤジのあくび560

田勢康弘「島倉千代子という人生」を読む1 昭和29年コロムビア歌謡コンクールでの優勝をきっかけに歌手デビューしている。そのコンクールで歌った曲が「涙のグラス」。鳴海日出夫という男性歌手の歌であった。東京地区予選で優勝した時、作曲家万城目正は「…

オヤジのあくび559

古賀慎一郎「ちあきなおみ 沈黙の理由」を読む2 本書は、夫でありマネージャーであり社長である郷さんの闘病と癌の進行を、付き人目線で綴っている。夫婦の近くに見舞いに訪れる宍戸錠が登場する。郷さんの実兄なのだ。邪推に過ぎないが、夫婦二人の強過ぎる…

オヤジのあくび558

古賀慎一郎「ちあきなおみ 沈黙の理由」を読む1 筆者は8年間ちあきなおみの付き人をしていた人。ちあきなおみのパートナーである郷さんとの思い出や仕事上の失敗談を語っている。 ちあきなおみが「朝日のあたる家」をマイクなしで歌う場面が出てくる。YouTub…

オヤジのあくび556

ヨハン・ガルトゥング「日本人のための平和論」を読む2 領土をめぐる緊張関係について、日本周辺で言えば、尖閣諸島や北方四島の問題について共同所有や共同管理という方法を、著者は提案する。国家同士が領土を巡って対立し戦争が起きているが、それ以前に…

オヤジのあくび555

ヨハン・ガルトゥング「日本人のための平和論」を読む1 不可逆=元に戻せない判断や行動から作者は語り始める。戦争は多くの命を奪い、その命は二度と戻ってこない。アメリカと一体化することこそが日本を守る唯一の方法であると多くの日本人が、少なくとも政…

オヤジのあくび553

小林よしのり「新戦争論」を読む。 アフォリズム。警句を並べ立てて読者を煽り立てるのは著者の得意技だ。目立ってしまうが故に、対立する人々に事欠かずネトウヨを始め、氏の意見から派生する様々な動きとの軋轢を体験的に描いている。けれども戦争の反対は…

オヤジのあくび552

加藤周一「梁塵秘抄」を読む2 源平の時代を取り上げたドラマには、必ず権謀術数に長けた後白河法皇が登場する。日本の経済や統治機構をどのように変えたいとか、清盛や頼朝のような政治信念はない。権力維持のための院宣乱発、だから歴史を変えた人としては…