オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

音楽

オヤジのあくび527

ジェームス・M・バーダマン、村田薫「ロックを生んだアメリカ南部」を読む1 本はエルヴィス・プレスリーの物語から始まる。サム・フィリップスのスタジオで「ザッツ・オールライト」を歌った時=初めてのレコーディングの様子がいきいきと語られる。そのすぐ…

オヤジのあくび513

時間軸に自由な音楽、空間を染める音楽2 集団で音楽を共有する時には、テンポや拍子間が必要になってくる。盆踊りの太鼓、宴会の手拍子だって同じ類いでしょう。でもより一斉に「せえーの!」が必要になってきたのはハーモニーの美しさに気づいてからだと思…

オヤジのあくび512

時間軸に自由な音楽、空間を染める音楽1 衝動的に音を鳴らす。声を出す、叫ぶことが音楽の出発点だとすれば、そこに時間軸の制約はなかったはず。集団で音を共有しようとして初めてテンポやリズムを共通理解する必要に迫られたはずです。けれど音楽の一部は…

オヤジのあくび510

山田耕筰「はるかなり青春のしらべ」を読む3 小山内薫がベルリンにやってきて、山田耕筰に真の芸術家として歩み始めるきっかけとなる一言を告げる。作曲とか音楽者へのこだわりから解放された瞬間なのだ。それにしても人は人との出会いにより成長し、変化す…

オヤジのあくび509

山田耕筰「はるかなり青春のしらべ」を読む2 音楽家には、とりわけ作曲家、指揮者、ピアニストには文章が達者な人が多い。作曲家や指揮者は自分自身でお客様へ音を発していない鬱憤がガス抜き的に文章に転化されるのだろうか? 山田耕筰も同様で、軽妙且つ抱…

オヤジのあくび508

山田耕筰「はるかなり青春のしらべ」を読む1 コロナ禍で学校が休校だった頃、朝ドラで古関裕而を主人公にした「エール」が放映されていて、作曲界の重鎮として山田耕筰がでているわけですが、演じていたのが生前の志村けんさんでした。確かに頭髪が寂しい感…

オヤジのあくび506

池辺晋一郎「耳の渚」を読む3 ・映画監督今村昌平さんの「楢山節考」の音楽作りの中で「五線が見える」と指摘された経験を話している。農家でわら打ち仕事をしながら歌う歌。五線が見えるとは、西洋音楽らしさが透けて見えて、農民の作業歌になっていないと…

オヤジのあくび505

池辺晋一郎「耳の渚」を読む2 ・楽譜に書いてある音に忠実であれ! と生前おっしゃっていた朝比奈隆さんのエピソードが出てくる。しかし、朝比奈氏の指揮から著者はベートーヴェンの交響曲で楽譜の指定がないritardandoを見つけてしまう。そして語る。楽譜が…

オヤジのあくび504

池辺晋一郎「耳の渚」を読む1 エッセイというのは、何か書きたいけれど、持久力がない人に向いた表現した方法だと思います。「オヤジのあくび」だってその時その時でそれなりに自分の本心や立ち位置を書いているつもりなのだけれど、長編小説のように延々と…

オヤジのあくび502

繋げる、伝える4 薩摩琵琶 琵琶の音色に初めてふれたのは、40代前半、地域に琵琶を弾かれる方がいらっしゃると聞いて、学校の音楽室にお招きした時が初めてでした。その音色はずっと気持ちの中に残っていたのですが、自分から教わりに行く余裕を作り出せない…

オヤジのあくび501

繋げる、伝える3 男声合唱 流石に女声合唱の経験はないのですが、一度だけモンテヴェルディ「アリアンナの嘆き」で男声アルト=カウンターテナーを歌ったことがあります。あとは混声や男声。音域はトップからバリトンまでで歌ってきました、ベースだけはおそ…

オヤジのあくび500

繋げる、伝える2 アカペラハーモニーの魅力 オーケストラや吹奏楽のハーモニーは、多くの人々を魅了します。でももっと身近にハーモニーを体験できるグループがあってもいいでしょう。それはつまりみんなで歌うことです。ところが多くの人は学校を卒業すると…

オヤジのあくび499

繋げる、力まず伝える1 音楽の楽しさ いくら教員不足だからと言って、何もこんなおじさんに教わらなくてもねぇ・・。私自身もそのような思いが頭をかすめることがあるのですが、開き直れば歳をとってきたということは、それだけいろいろな音楽を見境なく聴い…

オヤジのあくび496

ぼくが出会った合唱指揮者② 福永陽一郎=陽ちゃん先生 福永陽一郎は、人から先生と呼ばれることを露骨に嫌った。事情を知らずに「先生」と呼べば「ボクは先生していません!」の一喝を喰らってしまう。しかしながら、死後三十年以上経ち、未だにその演奏が語…

オヤジのあくび495

ぼくが出会った合唱指揮者① 山根一夫先生 我が師、山根先生について書く。おそらくは日本の合唱指揮者としてパイオニア的な存在であり、合唱指揮で何とか生活していけることを身をもって証明していた方でもある。 しかし、現在山根先生について語られること…

オヤジのあくび457

佐々木幹郎「東北を聴く」を読む2 89年前の昭和8年も、三陸海岸を津波が襲っている。その時初代高橋竹山は三陸に来ていて、九死に一生を得た話が出てくる。もし津波に飲まれていたら、私たちは高橋竹山の三味線にふれる機会を永久に失うところだった。川崎ヨ…

オヤジのあくび456

佐々木幹郎「東北を聴く」を読む1 津軽三味線の二代目高橋竹山さんと東日本大震災の被災地を門付けして回る旅の様子が描かれる。津波で潰れた家の下から、老人が歌う「八戸小唄」が聴こえてきたという。阪神淡路大震災の時も辛い状況で「赤とんぼ」を歌って…

オヤジのあくび455

坂本龍一「音楽は自由にする」を読む2 本はYMOから戦場のメリークリスマス、ラストエンペラーへと続く。苦労話としてはラストエンペラーでのベルトリッチ監督との作業がおもしろい。そして自分か経験してこなかった音楽を求められた時に、坂本龍一は摩訶不思…

オヤジのあくび454

坂本龍一「音楽は自由にする」を読む1 本当はひねくれているわけではないのに、文章を書くとひねくれた文になってしまう。坂本龍一氏の場合はどうなのだろう? 子どもの頃、ドビュッシーに感激する場面が描かれているが、率直に美しいものを感じ取る感性がな…

オヤジのあくび450

米山文明「声と日本人」を読む+日本語のためのボクの発声教育試論3 いろいろな声の出し方のうち、始めに教え始めていいのは、地声(表声)と裏声の違いだと思います。ここで言う裏声とは抜いたファルセットではなく頭声的な響きを伴った声のことで、有名な弓場…

オヤジのあくび449

米山文明「声と日本人」を読む+日本語のためのボクの発声教育試論2 小学生期の音楽、主に歌の話をします。ここ30年間くらい低学年に最も人気のある曲は、となりのトトロの「さんぽ」でしょう。たしかに子どもたちに好かれる要素が揃っている曲です。けれど音…

オヤジのあくび448

米山文明「声と日本人」を読む+日本語のためのボクの発声教育試論1 日本語について一貫した発声教育がなされていない。例えば小学校に限ってみても、多くの子どもたちが、国語の授業の音読と音楽の合唱、運動会での応援団は明らかに声を切り替えている。それ…

オヤジのあくび408

塚田健一「アフリカ音楽の正体」を読む3 コール&レスポンス。ゴスペルの元祖であるわけだから、呼唱と応唱のやり取りて歌は進んでいく。驚くべきは旋律の即興性でして、やがて訪れるJAZZへの進化を予感させる。本書では即興のルールも読み解かれており、自分…

オヤジのあくび407

塚田健一「アフリカ音楽の正体」を読む2 ハーモニーと言えば、ヨーロッパ音楽の最大のウリなので、アフリカに古くからハーモニーを楽しむ文化が息づいていることに驚かされる。そしてハーモニーに親しんでいた人々がアメリカに連れて行かれて黒人霊歌を歌い…

オヤジのあくび406

塚田健一「アフリカ音楽の正体」を読む1 アフリカ音楽のリズムは、一定の拍子・拍節感に慣れた感覚で聴くと複雑に聴こえる。いったいシンコペーションなのかポリリズムなのか、はたまた背景にある定量リズムの前でリズムが変化する二重構造なのか? そもそも…

オヤジのあくび394

青島広志「作曲家の発想術」を読む 青島広志作曲による演奏を初めて聴いたのは、母校横浜国立大学グリークラブによる「ギルガメシュ叙事詩」だった。なかなかすごい演奏で当時は後輩たちの演奏に感心したものだ。その後著者は教育音楽という雑誌の付録楽譜に…

オヤジのあくび391

音楽授業のキモ、それはリズム。 心臓が動いていない人はいない。私たちはいつも心臓の拍動を内に秘めている。内なる拍動から外に向けたリズムへ! 拍動は、バウンドするリズムなんだから、拍と拍の間に音楽がある。日本の宴会手拍子と西洋の指揮者が感じる…

オヤジのあくび381

大谷能生「平成日本の音楽の教科書」を読む2 音楽教育の話は、中学校へと移行していく。おっとりと筆を進めていた筆者は、突然自身が中学生に戻ったように、伝統音楽学習や従来型の西洋音楽学習の問題点を指摘し始める。まるで思春期の屁理屈をこねくり回し…

オヤジのあくび380

大谷能生「平成日本の音楽の教科書」を読む1 音楽が好きですか? と尋ねたら、かなり大勢の人が好きと答えるだろう。では音楽が得意ですか? と聞くと、かなり首を傾げて手を挙げる人が減ってしまうと思う。もっと突っ込んで、学校の音楽の授業が楽しかった…

オヤジのあくび313

三浦裕子「能や狂言の音楽入門」を読む3 間の取り方について。「教えられる間と教えられない魔」という歌舞伎役者九代目市川団十郎の言葉が引用される。間は客観的に測れるが、魔は聴き手には予想不能とも言えるだろう。どうやら秘伝らしい。 西洋音楽では音…