オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オヤジのあくび508

山田耕筰「はるかなり青春のしらべ」を読む1 コロナ禍で学校が休校だった頃、朝ドラで古関裕而を主人公にした「エール」が放映されていて、作曲界の重鎮として山田耕筰がでているわけですが、演じていたのが生前の志村けんさんでした。確かに頭髪が寂しい感…

オヤジのあくび507

梨木香歩「ほんとうのリーダーのみつけかた」を読む 話は同調圧力の実験から始まる。おかしいと感じていることに同調してしまうことは、教室内の子どもたちにもある。おかしいと感じるけれど、みんなが黙っているからボクも黙っていよう。筆者が言うように「…

オヤジのあくび506

池辺晋一郎「耳の渚」を読む3 ・映画監督今村昌平さんの「楢山節考」の音楽作りの中で「五線が見える」と指摘された経験を話している。農家でわら打ち仕事をしながら歌う歌。五線が見えるとは、西洋音楽らしさが透けて見えて、農民の作業歌になっていないと…

オヤジのあくび505

池辺晋一郎「耳の渚」を読む2 ・楽譜に書いてある音に忠実であれ! と生前おっしゃっていた朝比奈隆さんのエピソードが出てくる。しかし、朝比奈氏の指揮から著者はベートーヴェンの交響曲で楽譜の指定がないritardandoを見つけてしまう。そして語る。楽譜が…

オヤジのあくび504

池辺晋一郎「耳の渚」を読む1 エッセイというのは、何か書きたいけれど、持久力がない人に向いた表現した方法だと思います。「オヤジのあくび」だってその時その時でそれなりに自分の本心や立ち位置を書いているつもりなのだけれど、長編小説のように延々と…

オヤジのあくび503

繋げる、伝える5 読書の喜び 実はボクもスマホゲームはやりますし、まだ仕事もそれなりに続けていますので、日々読書三昧という生活ではありません。 しかもボクの読書傾向は偏っていて、図書分類で言う900番台は、随筆くらいにしか手が伸びず、ほとんどは80…

オヤジのあくび502

繋げる、伝える4 薩摩琵琶 琵琶の音色に初めてふれたのは、40代前半、地域に琵琶を弾かれる方がいらっしゃると聞いて、学校の音楽室にお招きした時が初めてでした。その音色はずっと気持ちの中に残っていたのですが、自分から教わりに行く余裕を作り出せない…

オヤジのあくび501

繋げる、伝える3 男声合唱 流石に女声合唱の経験はないのですが、一度だけモンテヴェルディ「アリアンナの嘆き」で男声アルト=カウンターテナーを歌ったことがあります。あとは混声や男声。音域はトップからバリトンまでで歌ってきました、ベースだけはおそ…

オヤジのあくび500

繋げる、伝える2 アカペラハーモニーの魅力 オーケストラや吹奏楽のハーモニーは、多くの人々を魅了します。でももっと身近にハーモニーを体験できるグループがあってもいいでしょう。それはつまりみんなで歌うことです。ところが多くの人は学校を卒業すると…

オヤジのあくび499

繋げる、力まず伝える1 音楽の楽しさ いくら教員不足だからと言って、何もこんなおじさんに教わらなくてもねぇ・・。私自身もそのような思いが頭をかすめることがあるのですが、開き直れば歳をとってきたということは、それだけいろいろな音楽を見境なく聴い…

オヤジのあくび498

改めて自由とは? 自由とは、全ての個人において保障されているので、自分だけ、あるいは誰か一人の自由だけが主張されることは、即矛盾を産んでしまう。 自由を考えるということは、全ての人が自由であるためには今何ができるのか? 考えることと同義であり…

オヤジのあくび497

とにかく人が死ぬのはダメ。 日本は素手で闘う武道がある。柔道、合気道、空手然り。剣道は竹刀も使うが、真剣がある時代から変化したのだ。相手を死に至らしめない、大怪我をさせない思想が低層を流れている気がします。 水戸黄門では「ジジイ、やっちまえ…

オヤジのあくび496

ぼくが出会った合唱指揮者② 福永陽一郎=陽ちゃん先生 福永陽一郎は、人から先生と呼ばれることを露骨に嫌った。事情を知らずに「先生」と呼べば「ボクは先生していません!」の一喝を喰らってしまう。しかしながら、死後三十年以上経ち、未だにその演奏が語…

オヤジのあくび495

ぼくが出会った合唱指揮者① 山根一夫先生 我が師、山根先生について書く。おそらくは日本の合唱指揮者としてパイオニア的な存在であり、合唱指揮で何とか生活していけることを身をもって証明していた方でもある。 しかし、現在山根先生について語られること…

オヤジのあくび494

さだまさし「やばい老人になろう」を読む まっさんの言う「やばい老人」の条件は三つ、知識が豊富、どんな痛みも共有してくれる、何かひとつスゴイものを持っている・・だそうだ。 やばい老人のトップバッターとして、身内のお祖母さんと父親のハードロッカ…

オヤジのあくび493

松井孝典/南伸坊「科学的って何だ!」を読む2 後半は教育談義になってくる。カースト制を受け入れながら暮らしているインド人にとって、ヨガや瞑想は格差を受け入れる手段であるなどと、すごいことを言っている。 教育のあり方ほど話題になりやすく、しかも…

オヤジのあくび492

松井孝典/南伸坊「科学的って何だ!」を読む1 本の始めの方で、血液型と性格の話が出てくる。松井先生は「わかる、わからない」と「納得する、納得しない」の境目が、日本語だと「わかる、わからない」で言い表せてしまうので、曖昧になるとおっしゃる。 こ…

オヤジのあくび491

理系科目とボク 勘で「多分そうだろうな」と感じて、わかってしまう学習と、自分の言葉で説明できないと先に進みにくくなってしまう学習があるとすれば、中学校の数学にはその境目が今もある。偉そうににそんなことを書くのは正規職員退職後、バイト的に県内…

オヤジのあくび490

坂東三津五郎「踊りの愉しみ」を読む 踊りを観る前に、出→くどき→手踊り→段切れ という流れを知っていれば、もう少し今の踊りはどこの部分なのかな? という見方ができるでしょう。 琵琶歌だつて、前語り、本語り、吟変わり、崩れ、後語りの部分と地、中干、…

オヤジのあくび489

宮尾慈良「世界の民族舞踊」を読む 私が小学生の頃「ワルツは三拍子」と教わった記憶があります。間違えてはいないのですが、ひっくり返して「三拍子はワルツ」ではありません。音楽の鑑賞曲には「メヌエット」が登場するのですが、三拍子にはメヌエットやマ…

オヤジのあくび488

紙屋高雪「どこまでやるか、町内会」を読む 自治会は、ゴミ、防犯防災、イベント、調査など、実に多くの活動を行政の下請け的に担っている。しかも無報酬。 本書の前半は、自治会・町内会の活動が「本当に法律の裏付けがある義務なのか?」を検証しています…

オヤジのあくび487

白石仁章「戦争と諜報外交」を読む4 最終章は、杉原千畝。この素晴らしい外交官については、何千人ものユダヤ人を救ったエピソードを中心に据えて多くの書が出ている。 おえコラの練習は早稲田の東京コンサーツという会場を使うことがある。この辺りの建物を…

オヤジのあくび486

白石仁章「戦争と諜報外交」を読む3 どういう場面に居合わせたか? 外交官としての運命や評価に大きく関わる。そして最終的な判断は、本国にいる外務大臣を始めとする政府の意向なのだ。ここに外交官としての葛藤があり、本意ではない行動を強いられることも…

オヤジのあくび485

白石仁章「戦争と諜報外交」を読む2 続けて本書には杉村陽太郎が登場する。国際連盟事務次長を務めた新渡戸稲造はお札の肖像画にもなり有名だが、その後任者が杉村なのだ。サイレントパートナーと揶揄されながら、常任理事国になった日本。杉村は事務次長と…

オヤジのあくび484

白石仁章「戦争と諜報外交」を読む1 日本が世界に伍して、大国としてのパフォーマンスを求められた場面として、本書では第一次世界大戦後のヴェルサイユ会議に「五大国」の一つとして列席した場面を挙げている。アメリカやイギリスがいくつものホテルを借り…

オヤジのあくび483

藪中三十二「世界に負けない日本」を読む2 外交のニュースは日々流れているけれど、どこを強調するか? によって受け止め方がだいぶ変わってくる。例えば尖閣諸島の近くを中国の船が航行したことは、よくニュースになるが、その向こうの海で行われている油田…

オヤジのあくび482

藪中三十二「世界に負けない日本」を読む1 始めに英語力の話が登場する。「中学3年生の英語の教科書を丸暗記していればそれでいい」らしい。ではその後も続く高校でのいわゆる受験英語や大学での英語は何だったのだろう? ところで藪中さんは日本の大学を卒…

オヤジのあくび481

佐藤和孝「戦場でメシを食う」を読む3 無政府主義者=アナーキストとは所詮現在の体制を批判して新しい秩序を求めているだけなのかなぁと感じた。本書のアルバニアの章を読んでそう感じたのだ。独裁社会主義国のアルバニアは長い間鎖国していた。だから海の対…

オヤジのあくび480

佐藤和孝「戦場でメシを食う」を読む2 話題はサラエボに移動する。以前緒方貞子さん関連の本を読んだ時に凄まじい内戦の様子が記されていたことを思い出した。サラエボは1984年冬季オリンピックの開催地だが、それから10年も経たないうちに内戦によって街が…

オヤジのあくび479

佐藤和孝「戦場でメシを食う」を読む1 タイトルの付け方は「?」な感じを抱かせる。けれどどんな状況下でも、人は食べ物のことを考え続けている。むしろ極限まで追い込まれているからこそメシのことが最重要なのだろう。テレビにもよく登場した筆者だけど、…