オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

ほいほいおじさんとハードロックを聴こう 6

ディープ・パープル

 ここまでレッド・ツェッペリンやクリームについて話してきたのだが、要するにハード・ロックとは何なのか?それは、およそ次のような要件を満たした音楽と言えるのではないだろうか?

 ① 聴衆が耳を塞ごうが、そんなことはお構いなし。基本的に巨大な音響パワーを味方につけて、聴き手を圧倒する演奏を身上とすること。

 ② メンバーの所属国籍に関係なく、音楽的なルーツを辿れば、ブルースに根ざした和声進行を基調としたロックであること。

 ③ たしかな演奏能力を個々が保持しており、華麗なアドリブを展開する技術を持っていること。

 ハードロックについて、話し始めておきながら、上の3つの要件をすべて満たしている「ディープ・パープル」が三番目になってしまったのは、何だか申し訳がない気がする。「バーン」「スモーク・オン・ザ・ウオーター」「ブラック・ナイト」「ハイウェイ・スター」・・。もし曲名や演奏しているグループ名を知らない方がいたとしても、そのイントロを聴いただけで、「あっ、その曲なら聴いたことある!」と肯かれることだろう。ハードロックの名曲を量産し、多くの若者をロックの世界へといざなってきた夢のグループ・あこがれのグループがディープ・パープルである。

 彼等の人気は、半端なものではない。今は部屋の片隅で静かな余生を送っているエレキギターも、きっと購入したての頃には持ち主とともに「スモーク・オン・ザ・ウオーター」のイントロを奏でていたに違いない。ある楽器店では、ギターの試し弾きで「スモーク・オン・ザ・ウオーター」のイントロだけを弾き。結局買わずに帰ってしまう客が多いので、当曲の試し弾き禁止という触れ書まで出たと言う伝説さえある。

 当初オーケストラと競演したり、グループの方向性を決めかねていた彼等が、結局ハード・ロックを選択してくれたことは、とても幸運な出来事であった。ディープ・パープルが、バリバリのハード・ロック路線に転換してくれたおかげで、我々は、今日も彼等の生み出した名演奏の数々を楽しむことができるのだから。

 ベンチャーズが「テケテケテケ」で、私たちにエレキギターの魅力を伝えてくれたように、ディープ・パープルは、ハード・ロックの醍醐味を教えてくれた。彼等には多少失礼な言い方になるかもしれないが、ツェッペリンやクリームに比べれば、アマチュアの愛好者でも、ある程度まではコピーが可能な曲が多く、そのことでハード・ロックのファンが、今なお増え続けているのは、パープルの功績の一つと言えるだろう。

 息子のドラム発表会からスタートした話が、少々長引いてしまった。思い出せば、その発表会に締めくくりに演奏された曲が、パープルの「バーン」だった。熱気あふれる演奏に、会場全体が異常なまでに盛り上がったのは、言うまでもない。これから先も、みんなパープルが好きになり、ロックに病みつきになり、パープルなしでは生きている甲斐がないとさえ思いつめてしまう。そんな若者が後を絶たないだろう。

 ディープ・パープルよ、永遠に。