今を去ること20年前、現在の横浜はみなとみらい地区で、バブル景気を味方につけてド派手なイベントが開かれていた。その名も、YES 横浜博。開港130年、市制100年を記念して開かれたこの博覧会は、地方博としては破格の規模で開催された。場内にはリニアモーターカーが走り、今は日本丸の脇に移設された大観覧車が回り、連日お賑わいの大盛況であった。当時いくつかの催しに関係していた私は、そのおかげで何回も無料で入場することができた。打ち合わせを済ませた後、あちらこちらのパビリオンを見て回り、ほとんどすべての施設を見尽くしてしまったものである。
さて、それから20年。横浜開港150年を迎え、横浜では開国博という催しが開催されている。今回は、会場が分かれており、港周辺のベイサイド地区と動物園ズーラシア周辺のヒルサイド地区の2箇所に分かれている。いろいろと人を惹きつける企画が、マスメディアにも登場している。
その中で比較的地味目な企画が、市民参加型の横浜18区紹介デーである。横浜博の時にも、各区毎に区民デーが設けられ、私も某区の催しで、区内の合唱団・合唱愛好者の方々を集めて、臨時に百数十人に及ぶ大合唱団を編成し、その指揮を執らせていただいた思い出がある。大きなテント状のホールに、大合唱団の声が響き渡る様は、圧巻であった。
その流れを引き継いだものなのか?横浜18区紹介デーに、合唱団の仲間といっしょに参加し演奏してきた。場所は、赤レンガ倉庫。赤レンガ倉庫周辺がこのようにおしゃれな空間になっていること自体、一昔前の赤レンガ倉庫を知っている者にとっては、感慨深いものがある。今ほどきれいではなかった時代も、ジャズ・プロムナードなどの催しには使用されており、関内駅からの薄暗い道を通っていたものである。(20年近く前の話である。若干記憶がおぼろげなのだ)
当日、いっしょに演奏した合唱団は、女声合唱団が二団体に私が所属している男声合唱団の計三団体。それぞれの演奏が終わり、最後に「合同合唱」といういかにも合唱団の演奏会的なお決まりの場面を迎えたのだが、そこで歌われたのが「歓喜の港」という曲で、これは、50年前開港100年を記念して作られた曲とのことである。
今回も人気デュオの「ゆず」が、開国博開催を記念して、曲を提供してくれていると聞くが、時代を150年前、100年前、50年前に遡りながら、港の歴史や節目の年に花を添えてきた歌について、綴ってみたい。