オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

マイ フェイバリッツ ソング 2

スリー・ドッグ・ナイト ワン

 世の中のミュージシャンを、「売れたなら売れるに越したことはないが、とりあえず自分のやりたい音楽を最優先にして我が道を行く音楽家」と「プロを名乗る以上は売れなければ成功とは言えないとばかりに、耳に馴染みやすい曲を演奏しヒット曲を量産している音楽家」に分類するならば、スリー・ドッグ・ナイトというグループは、間違いなく後者に属するミュージシャンと言えるだろう。だが同時に前者の境遇に甘んじていた多くのソングライターの曲を積極的に採り上げ、世に知らしめたグループでもある。
「ジョイ・トウ・ザ・ワールド」「ママ・トールド・ミー」「オールド・ファッション・ラブ・ソング」「シャンバラ」「ザ・ショウ・マスト・ゴー・オン」等々、ヒットチャートを賑わした曲は数多く、おそらくは曲名を挙げるだけで懐かしい思いに駆られる洋楽ファンの方もいらっしゃるだろう。1970年代前半のポップシーンをリードしていたグループと呼んでも過言ではない彼等の初の大ヒット曲が「ワン」である。

 スリー・ドッグ・ナイトというグループ名は、オーストラリアの先住民の風習「寒い夜には三匹の犬を抱いて寝て暖まる」に由来する。三匹の犬とは、ヴォーカリスト達のことであり、このグループは三人のリードヴォーカル+バンド四人という編成なのだ。三人のヴォーカルは、それぞれに個性的な声質の持ち主で、三人彩なす豊穣な音楽世界がこのグループの魅力と言えるだろう。デビュー当時は、その質感あふれる演奏から「グラム・ロック」などレコードマンスリー誌上で呼ばれたこともあったが、重量感あふれるロックンローラーというよりは、誰にでもすぐにその楽しさがわかるエンターテイナーと呼んだ方が、当たっているように思う。

 さて「ワン」の話。作曲はハリー・ニルソン。「ハリー・ニルソンの肖像」「ランディ・ニューマンを歌う」等のアルバムや「ウィズアウト・ユー」で知られている彼は、驚異的な声域を持ち、ポール脱退後「ビートルズ」に招かれそうになったことがある人物だ。ニルソン自身もシングル盤で発売しているが、ヒットせずスリー・ドッグ・ナイト一流のアレンジによって、大ヒットし、世に広く知られる曲となった。

 One is the loneliest number

 1って、さびしい数字だよね。

That you'll ever do

 わかっているよね。

Two can be as bad as one

 2も1と同じようによくないんだ。

It's the loneliest number since number one

 1の次に孤独な数字が2なのさ。


No is the saddest experience

「ノー」って、それはとても悲しかったよ。

You'll ever know

 わかっているよね。

Yes is the saddest experience

「イエス」って、それはとても悲しかったよ。

You'll ever know

 わかっているよね。

'Cause one is the loneliest number

 だって1は、とってもさびしい数字だからさ。

That you'll ever do

 わかっているよね。

One is the loneliest number

 1は、とってもさびしい数字なんだ。

Wouldn't work with two

 2でも同じなんだけどね。


It's just no good anymore

 何もかもうまくいかないんだ。

Since you went away

 きみが出ていってしまってからさ。

Now I spend my time

 ぼくは ひとりきりで

Just making rhymes of yesterday

 昨日のことをつぶやいているのさ。

One is the loneliest number

 1ってさびしい数字だね。

One is the loneliest number

 1ってとてもさびしいんだよ。

One is the loneliest number

 1は、一番さびしい数字だから・・

That you'll ever do・・・

 わかっているだろ?

 曲は、恋人に去られたさびしさを歌っているのだが、誰しも「結局自分は一人っきりでしかない」という思いに駆られた経験があるだろう。そのような心に One is the loneliest number の節が哀愁をこめて切々と響いてくる。
 一人きりになってしまった時、一人きりになりたい時に、お薦めの佳曲が「ワン」です。