6/27(土) 14:00 開演
梅雨の晴れ間に 2009 「男声合唱の響演」
品川区立総合区民会館 きゅりあん 大ホールにて
若い頃の歌った仲間とともに、昔取った杵柄よろしく男声合唱を楽しむ。名古屋大学男声東京OB合唱団、横浜国立大学グリークラブOB合唱団、東北大学男声OB合唱団の三団体によって開催されたこのコンサートは、まさになつかしい青春の思い出よ、もう一度!という思いがステージからほとばしるコンサートだった。
中でも白眉は、東北大学男声OB合唱団による「チャイコフスキー歌曲集」で、発声、音色、音程、リズム、フレーズのとらえ、和声感等、音楽表現を支える基本的な技能がよく鍛えられており、出だしの一音を聴いた瞬間から聴き手を安心させてくれる。その上に立って、甘いチャイコフスキーの旋律をとろけるように聴かせてくれるのだ。
思えば編曲者である福永陽一郎氏は、チャイコフスキーの甘いおいしい音楽が大好きな人で、この歌曲集の編曲に際しても、そのツボをはずすことなく、音楽の一番美味いところを引き出すことに成功している。東北大学男声OB合唱団の演奏は、編曲者が作ったレシピを見事に再現し、まことに素晴らしい演奏を聴かせてくれた。
昔取った杵柄合唱団の中には、昔の技能のまま、とりわけ新しい解釈もなく古色蒼然とした(いい意味ではない)演奏を聴かされ、がっかりすることも多いのだが、この日の東北大学男声OB合唱団の演奏からは、少し年を取っても、若い頃歌った仲間とともに、新しい技能を獲得しつつ、新しい表現に挑むことが十分可能であることを示した演奏であったと思う。拍手!