オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

オペラ コレクション「カルメン」を買ってみる 4

 観ておもしろい、聴いておもしろいオペラだが、実は、参加するのが最もおもしろい味わい方なのである。

 声楽家でもないのにどうやって?

 合唱団として参加する(もぐりこむ)のである。とりわけカルメンのように合唱の出番が極めて多く、大人数の合唱団員を必要としているオペラには、チャンスがある。

 一介のコーラスボーイだった30年前、大学の後輩Fに誘われて、私が初めて参加したオペラがカルメンだった。これは福永陽一郎指揮する藤沢市民オペラで、宮原昭夫著「カーテンコールよ もう一度」にもことの成り行きは詳しく記されている。このオペラ以降、すっかり「参加するオペラ」の虜になった私は、以後10年あちらこちらのオペラの舞台に「合唱の一員」として立っている。

 カルメンの舞台で思い出すのは、故粟国安彦氏(日本オペラ界にとってかけがいのない演出家だった・・)がイタリアから帰国直後稽古場に訪れ、本場じこみの演技指導を施してくださったことや暗がりの中薄汚いTシャツで、歌い演じたジプシー(密輸団)のコーラスなど、若き日を振り返り、とても懐かしい。
  
 合唱と言えば、最後に是非とも注目していただきたいのが、一幕兵隊の交代シーンに現れる少年合唱団だ。この美しいボーイソプラノとおもわず微笑みを誘うかわいらしい演技の主は、何と、ウィーン少年合唱団である。「何だ、どおりでうまいわけだ・・。」と感心するのもよいが、同時にウィーンという街が、音楽なら何でもござれの、音楽の都であることの証を示しているようでもある。