オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

卒業の歌 考 3

 卒業の歌が、その人個人に贈られたものであるとしたら、何とよろこばしく嬉しいことだろう!

 卒園生一人ひとりに、その子の成長を綴った歌を贈っている保育園がある。横浜市泉区にある鳩の森愛の詩保育園である。まるで歌うように生きている園長先生のキャラクターと理想、園にかかわる多くのスタッフがその理想を目標として共有化できてしまったところから、この実践はスタートした。

 思うに、卒業生が自分たちで自分たちの卒業の歌を創り、歌えたら、どんなにか素敵だろうと思うのだが、未だに私はその夢を果たせないでいる。

 歌にせよ、学習にせよ、いやもっと大きく自分をとりまいている様々な事柄を、どうやって「自分事」としてとらえ、且つ「自分自身が主体的に対象に関わろうとするか(または関わる力を育てるか)」が、それは生き方の教育の大きな主眼であったはずなのだが、どうも子ども達も、そしてひょっとすると教職員でさえも「あてがわれたもの」を「マニュアル」通りに処理することで、精一杯になってしまっている風潮を感じる。

 歌は、結局その人自身、自分自身のためのものでしかないはずなのに。言われた通りの曲を、言われた通りに歌い、お決まりのように感動し、予定調和の中で賞賛される。その連鎖を断ち切り、歌をもう一度自分の立ち位置に帰って、作り直してみよう。鳩の森愛の詩保育園の実践は、そのような原点を思い出させてくれるかのようだ。