オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

テノール 佐野成宏の活躍に期待!

少し前の話になるが、正月TV漬けの稿で書いた「NHKニューイヤーオペラコンサート」の模様をVODで購入し、観た。

 レンタルビデオ屋へ借りに行く手間を考えれば、リモコン操作一つで観たい映像を呼び出す事が出来るVODという仕組みは、なかなか有り難い。ちなみに今回の購入代金は、315円である。

 さて、私のお目当ては佐野成宏。トスカから「たえなる調和」とご存知「星は光りぬ」の2曲を聴かせてくれた。他の歌手が1曲なのに、彼だけ2曲?のわけは、おそらく彼の前にイゾルデを歌う予定だった藤村美穂子がキャンセルになった影響であろう。

 市原多朗が一人でテノールの看板を背負い続けてきた(他の歌手が好きな方には申し訳ないが・・・)声楽界において、日本人が久しく待ち望んでいた逸材だと思う。より軽くより明るくよりのびやかに・・をテノール歌手に求めるファンなら彼の良さは、すぐに理解できるだろう。

 すべての音がブリリアントに光ってきこえてくる、どの旋律も美味しい果汁がしたたり落ちるかのように、甘く切なく歌い上げていく。そんな歌手をどれだけ待ち望んできたことか!山路芳久の早すぎる逝去以来、枯渇していた井戸から新しい水が涌きだしたような感動を覚える。

 後半出てきた歌手の中では「運命の力」から「神よ、平和を与えたまえ」を歌った木下美穂子の歌唱もすばらしかった。某映画評論家の口癖を真似れば、「いや〜、オペラって本当にいいものですね。

 こういう歌声を聴くと、しばらく声楽のレッスンから遠ざかっていた筆者も、再びその気(歌う気?)になってきてしまうのだ。