オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

多田武彦 男声合唱組曲「雨」を歌う 4

雨の日の遊動円木

 遊動円木という遊具が、校庭にあまり見かけない。かなり希少種になった遊具である。地面すれすれに「ゆらゆらする丸太」が宙に浮かぶように、鎖でぶら下げられた遊具とでも言えば、「あ〜、あれか!」とイメージできる方もいるだろうか。地面に転がされるでもなく、かといって天を突くように直立する出もない中途半端な丸太の様子が、詩人の気持ちを動かしたのだろう。
 何かが揺れる、何かが回る様を表現した曲は、三拍子の曲が多い。ご多分に漏れずこの曲も三拍子だ。この三拍子の揺らぎを感じ取って、遊動円木がきしむように動く様が、旋律で表現できれば成功なのだろうが、男声合唱の歌い手達は、直線的な歌い方を好むようで、なかなか三拍子の効果が表現できない。
 同じ旋律を、手を替え品を替えて四回繰り返しているのだが、最も難しいのが、四回目の半拍遅れで入る箇所だ。焦って早くつっこみ過ぎても、逆に間が空きすぎても間抜けな感じになってしまう。かと言ってデジタルにきっちりウラから入れば、○なのか?と言うわけでもない。微妙なニュアンスが求められるのである。上手く歌えないと、揺れる遊動円木から落ちてしまう子ども同様に悔しい思いを味わうのである。