デビュー曲でおちゃらけのパロディーをやらかし、その後バラード曲で実力を示すというパターンは、サザンに続く、米米クラブや爆風スランプもたどった道だ。
いとしのエリーという曲は、一回聴けば、だれにもその曲のよさ・せつなさがわかってしまう曲で、「これは名曲である」と誰もが恐れ入ってしまう曲なのだ。
でも自分だけ土下座するのも、かっこ悪いので、だれか「偉い人」がこの曲のよさを評価しないかな?と模様眺めで身を屈めていると、その「偉い人」が桑田の同郷(茅ヶ崎)に住んでいたのですね。他ならぬ日本のポップスの草分け、加山雄三その人が、桑田の音楽性を認めたわけですよ。
湘南という風土の中で、深く密室に閉じこもり思想にふけるのは向かない。
あっけらかんとさわやかに、いいものはいいんだからそれでいい、楽しければそれだけで前向きになれる気がする。そんな思想でも何でもない、自由な風があの地域にはいつも吹き抜けている。桑田や加山氏が育ったのは、そのような風土なのだ。