TSUNAMI
台風のように瞬間最大風速を記録しながら、人々の心に刻まれる音楽があると思えば、ゆっくりと季節が移ろうように時間をかけて人々の心の中に染み込んでくる曲がある。この曲のヒット曲としての寿命の長さは、まさしく後者であろう。曲のタイトルは「TSUNAMI」であるけれど、その大波は、いつまでも人々の心にとどまっている。
暮れの忘年会の時期になると、その年流行した歌を、どうやってカラオケで歌うかが、週刊誌の話題になることがある。この年のその手の話題は、まさに「TSUNAMI」一色であった。とにかくよく売れ、日本中何処へ行っても
流れていたような気がする。記録としては、J−POPのシングルとしては、歴代一位の売り上げを記録している。(すべてのシングルを通じては、「およげ!たいやきくん」「女のみち」に続く3位)念願?のレコード大賞も受賞し、しかもその後すぐ横浜アリーナに引き返して、年越しライブをやっているのだから、いやはや大変なパワーである。
この前、BS朝日で「伝説のメロディ」という番組を放映しており、「TSUNAMI」ではなかったのだが、サザンの曲を豪華ゲストがカヴァーして歌っていた。歌手が代われば歌が変わる。当然のことだが、桑田が歌っていないその演奏に、私は若干の違和感を覚えてしまった。それは、ビートルズの曲をビートルズ以外の歌手で聴いたときの印象に似た違和感と似ている。
桑田の声でなければ、桑田の歌い方でなければ、いくら曲はよくても、何か物足りないのである。食道ガンの手術ニュースをきっかけに始めた「いつも桑田の歌がそこにあったっけ」も、桑田の復帰と今後ますますの活躍を祈って、そろそろ終演としたい。