オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

音楽で飯が食えるのか?ー2 歴史編

音楽を生活の糧にしようと考えた最初は誰なのか?中世ヨーロッパの教会で、典礼のための音楽を創作していた音楽家達や宮廷に雇われ、王侯貴族のために演奏ならびに創作活動をしていた音楽家達に、「音楽こそは我が生活の糧である」という意識が、どの程度あったか?同時期に放浪を続けていた吟遊詩人の諸氏にも、その点については、ぜひ尋ねてみたいものだ。
 権力者・財産家の庇護の元に創作活動をするのではなく、もっと自分の音楽を自分の手で価値づけて、商品として売る。その先駆者は、やはりモーツアルト、その人であろう。父の反対を押し切り、ザルツブルグの教会を抜け出して、自らの作品を売りにかかったの彼の転身は、大いなる勇気と決断である。ただ、その試みが本当に成功を収めたのかどうかについては、妻の浪費癖や晩年の家計事情と合わせて、未だ評価が分かれているところであろう。
 さらに、自分の作品を売ることに固執し、確実に成功を収めたのが、その道での後輩ベートーヴェンである。彼の共和主義志向とも関連するのだろうが、ベートーヴェンは、、自分の創作の代価として、貴族から金銭を受け取ることを生活の糧としていたし、音楽によって、メシを食うことができた最初の人間と言って差し支えないだろう。彼が切り開いた世界は、音響の中にとどまらず、音楽家としての生活の仕方にさえ及んだのだ。彼をして楽聖と呼ぶのは、その意味でも至極もっともな話である。