オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

シャルパンティエ「真夜中のミサ」を聴く。

 バロック期の合唱曲を中心に演奏している合唱団が地域にあり、昨年の暮れ演奏会を聴きに行った。
 仕事が終わらず、途中からの入場になってしまったのが、入っていくとちょうどモンテヴェルディの「マニフィカート」の演奏が始まるところだった。豊かな旋律の起伏を歌い上げており、女声を中心に一瞬宗教曲であることを忘れさせるくらいに表情豊かな演奏であった。少しロマン派的な作り方のようにも感じたが、曲そのものの造形美は十分に堪能することができた。
 休憩を挟んで、表題のシャルパンティエのミサが演奏された。これまた一般には馴染みの薄い作曲家だが、ブルボン王朝最盛期のフランスにあって、音楽文化の中心にいた人物である。曲の中には、耳によく馴染むノエルの旋律が散りばめてあり、初めてこの曲を耳にする人でも、広い門戸を開いて聴衆を待ち受けるこの曲の世界に、すぐに入っていくことができるだろう。
 合唱は、この曲の素晴らしさを余すことなく伝える好演であったが、その演奏を引き出す役割を演じていたのは、前に並んでいた弦・管楽器の奏者の皆様であろう。どの奏者も卓越した技能で、美しい音色を奏でていたが、とりわけフルートの音色がいつまでも耳の奥に残り印象的であった。
 当合唱団の指揮者によれば、真夜中のミサは、クリスマスイヴに演奏されるために書かれた曲であるという。静かな冬の夜に、教会に人々が集い、このミサ曲を聴いていたのであろう。現代のように至るところ、音楽で充たされているような世界ではないが、それだけに心の底から美しい音楽を求め、味わう人々の心に響き渡っていたのかもしれない。「真夜中のミサ」が。