日曜日の朝は、日曜美術館か題名のない音楽会を観ている。3月20日は、「題名のない・・」をつけると、辻井伸行がチャイコフスキーのピアノ協奏曲を弾いている。ピアノの向こうでタクトをとっているのは、番組の司会者でもある佐渡裕のようだ。
二人とも自由度の高い、想像を高らかに飛翔させる演奏を聴かせてくれる音楽家だが、この日の演奏では、佐渡さんが辻井さんの音楽を最大限に引き出せるようにサポートしていたというか、しっかり見守っていたというか、そのような関係に思える場面があった。
もちろん途中佐渡裕ならではの、ダイナミックな振幅はあるのだけれど、まず辻井さん、そして、それをオーケストラでバックアップするという演奏に聴こえた。協力して演奏すると書いて「協奏曲」。もともとコンチェルト自体が協力しあうという意味なのだから、決して意訳ではない。互いの力がおのおの100%発揮されて、全体の表現が120%にも150%にも膨らんでいくのが協奏曲の魅力だと思うのだが、この日は、指揮者とピアニストが協力しあい、互いの力を引き出そうとしている好例だったと思う。