「あめに ぬれながら たたずむ人がいる」
AKBやらEXILEが脚光を浴びている時代に、演歌歌手の話題などを平然と採り上げているのも、アナクロと言えば、そうなのかもしれない。
演歌受難の時代が、いつ頃から始まったものなのか・・?ただ、表題の歌手「三善英史」は明らかに演歌黄昏の時代にあって、一瞬の光彩をを放った彗星であったと思う。
三善英史が、各歌謡大賞の新人賞を総なめにした1972年は、郷ひろみが「男の子女の子」でデビューした年であり、野口五郎・西城秀樹等とともに、新御三家なるキャッチフレーズで売り出されていた年だ。アクションたっぷりに歌う彼等に(野口五郎はそれほどでもないが)客席から飛んでくる黄色い歓声。天地真理・南沙織・小柳ルミ子の三人娘と並んで(花の中三トリオではない)アイドル歌手というはっきりしたイメージが確立し始めた頃の話である。
そんな時代に、スマートというよりは、痩せた細身といった感じの体で、まっすぐに直立し、高い声で哀愁を帯びた歌を聴かせる姿は、まったく好対照をなしていた。
その後、ヒット曲にこそ恵まれているとは言えないが、再び多くの人に、色で例えれば水色のような、透明感のある声を聴かせてもらいたい歌手の一人である。