オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

ルネサンス音楽の喜悦 5 ヴィクトリアから始まった

 またもや学生時代の話で恐縮だが、先輩の強引な?勧誘により男声合唱団に入ってしまった私は、そこで聴いたことがなかった不思議な曲と出会う。曲名は「大いなる奇蹟」、作曲者は、トーマス・ヴィクトリア。ミサ曲であるという。
 カトリックの学校でもない大学(一応 国立)で、何故ミサを歌っているのか?そもそもミサとは、何なのか?何も知識がなかった当時の私は、ただただ訳も分からないまま、皆川達夫先生による編曲の男声合唱版ミサを歌わされて?いた。
 しかし、「門前の小僧・・」の例えに似て、知らず知らずのうちに私は、この曲の魅力にはまっていった。幾多のミサを経験した後で、敢えて振り返るならば、人間の香りのするミサとでも形容したらよいのだろうか?
 前述したパレストリーナの美しさを神の世界に例えるならば、ヴィクトリアの世界は、もう少し人間に近いところにある。より色彩的感情表出的であると言ってもよいかもしれない。私の合唱人生のスタートが、トーマス・ヴィクトリアのミサ曲であったことは、私にとってのまさに「大いなる奇蹟」である。