オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

ミューズの神が宿る時2  スクランブルド・エッグ(後)

 自分の曲であるか、疑心暗鬼であったポールは周囲の仲間に曲を聞かせて尋ねてみた。「このメロディーを知っているかい?」
 しかし、答えは誰に聞いても「NO」であった。あまりにもきれいな曲であることから、自作曲であることに自信がもってなかったポールも、ようやく「どうやらこれは自分の曲であるらしい。」確信するに至ったのだ。
 ジョンに意見を聞きながら歌詞を変えて、新しい曲名に直した。内容は、14歳の時に乳癌で亡くなった母への思いを詞にしたものだ。
 さて、次は演奏と録音である。グループの仲間と合わせると、いつものど派手なロックンロールになってしまう。ここは一人でやらせてもらおうと思った。そしてマーティンにアレンジを頼んで、弦楽四重奏の伴奏をつけてもらうことにした。彼自身は、アコースティックギターとボーカルである。
 レコードが発売されると大変な反響となった。「世界で最も人気のあるロックグループが、こんな美しい曲を発表するとは!」世界中のファンが驚き、そして賞賛の拍手を送った。ライブコンサートでは、この曲を演奏すると、突然歓声が止み、厳粛なクラシックの音楽会の雰囲気に変わってしまう程だった。
ポールが書き直した曲名は「イエスタデイ」。言わずとしれたビートルズの名曲である。

 ビートルズ イエスタデイ
      (アメリカ発売シングル アクト・ナチュラリーB面)