オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

ミューズの神が宿る時4 最後に付け加えられた歌(前)

「今回は、なかなかよくできた曲が多い。」決してうぬぼれからではなく、率直にリチャードは、そう思った。
「ドレミの歌」「私のお気に入り」「すべての山に登れ」「ひとりぼっちの羊飼い」そして劇のタイトルでもある「サウンド オブ ミュージック」。どの曲を取ってみても、オスカーと共同で創り上げてきた数多くのミュージカルの中で、今回は出色の出来映えだと感じていた。
 現存するトラップファミリーの史実を下敷きにしながらも、実際の音楽は、まったく新しいオリジナル曲で構成していくという手法は、オスカーとリチャードの作った新曲に力がなければ、何のためにわざわざオリジナル曲で構成したのか、意味価値が問われてしまう。
「しかし、その心配はなかろう。」すでにできあがった曲を振り返りながら、リチャードは、このミュージカルが絶対ヒットするという確信を深めるのだった。