オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

コクリコ坂を彩る音楽 1

 スタジオジブリのアニメ映画「コクリコ坂から」を観た。1963年当時の横浜を舞台にというふれこみで、懐かしい横浜の風景も端々に織り込みながら、綴られる青春ストーリーを楽しませてもらった。
 1963年、私は同市鶴見区内にある小学校の1年生だった。母方の祖父が大森にいたため、横浜方面よりも多摩川を渡り大田区や川崎に出かけることが多かったように記憶している。まだ木製の葡萄色?電車が走っていた京浜東北線。昔の桜木町駅舎(まだここが終点だった。磯子まで、洋光台まで、そして現在の大船まで開通するのに、だいぶ年月がかかっている)。横浜にも走っていた市電等々。この映画からも「三丁目の夕日」から感じる郷愁感が随所に漂っている。
 物語はフィクションなので邪推に過ぎないのだが、主人公の下宿屋は、新山下町を見下ろす丘の上だろうか?また通っている共学の高校は、私学にもかかわらず、60年安保闘争期の血気盛んな生徒が多い雰囲気だが、山手駅近くの丘にある県立高校がモデルだろうか?

 風景同様、映画の中には懐かしい曲が、たくさん聴かれる。例えば、激論飛び交う学生集会中、突然校長が来るとの報に、全員が「白い花が咲く頃」を合唱するのは、ユーモラスをある意味通り越しているような光景だ。1963年と言えば戦後を代表する人気歌手舟木一夫が「高校三年生」でデビューした年で、この年の最大のヒット曲、いや戦後を通しても最大級のヒットナンバーになるわけだが、この映画のメインを彩る歌は、坂本九の「上を向いて歩こう」である。「高校三年生」が日本歌謡史の代表曲であるならば、「上を向いて歩こう」は「スキヤキ」として、世界のスタンダードナンバーなわけで、どちらがいい曲とか論じるのは、無意味な話なのだが、この映画に敢えて「上を向いて・・」が使われているのは、この映画を通して、伝えたいメッセージの一部を「上を向いて・・」が担っているからだろう。
 それは、ひたむきさとか一生懸命さとか、言い換えることができる心のあり方に通じそうであるけれど。