オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

今、歌っている曲 1ー3

「第九」の難所は、多い。現人類が誇る歴史上最高の作曲家が渾身の力をこめて、書き上げた曲なのだから。「聴力がない人が書いたのだから」・・いろいろな感想はあるだろうが、少なくとも素人集団には至難の技である。
 男声について言えば、595小節「Seid umschulungen Millionen」に始まる部分。威厳十分に太い声で歌い始めるとD〜Eへのオクターブ以上の跳躍で、声がつまってしまう。急に声が薄くなって歌っている側は少々情けなく、聴いている側は失笑をこらえるのに必死になるのがこの箇所である。上の音がそんなに苦しいなら、下であんなにがんばらなければいいのに・・と率直に思うのだが、威風堂々たる人生の先輩諸氏は何が何でも、この出だしを堂々と歌いたいらしい。
 それに続いて、612小節「uber sternen zelt」のF音がさらに大問題で、ここはバスとテノールがユニゾンで歌っているはずなのだが、実際に歌っているのは何人?と尋ねたくなるほど、声がない。私がもしオーディションで第九合唱団のメンバーを編成するとしたら、男声については、この箇所を課題にしたい。
 かくいう私は、テノールとバスを行ったり来たりしている合唱人生が幸いしてか、このあたりの音域や跳躍は、不思議と苦でないのである。自分が苦にならないのをいいことに、歌うことに苦労されている人をあげへつらうのは、我ながら何ともイヤミな性格であるが・・・。