シーシャンティーの解説に続いて、もう一つ請け負った曲が、多田武彦の「柳河風俗詩」である。
男声合唱に関わった人なら、誰もが歌ったり聴いたことがあるはずの名曲中の名曲で、自分自身も全曲を通して何度も歌ってきている。
全4曲のうち、異彩を放っているのが2曲目の「紺屋のおろく」である。詩人北原白秋が少年期に淡い恋心をいだいた女性であることが推測されるのだが、今回調べていて当時の柳川に紺屋の使用人として「おろく」という女性がいた事実が確認されているそうである。実際に、筑前しぼりに博多帯締め、金の指輪をしていたかどうかまでは、知る由もないが、実在の人物であることがわかれば、その先の興味も広がっていこうというものである。
新大関琴奨菊の誕生に湧く柳川だが、男声合唱ファンにとっては、北原白秋の故郷という興味も尽きない土地である。