訪問演奏で千曲川を歌った日の夜、BSで五木ひろしの特集を放映し
ていてしばらく見ていた。すると何と昼間歌ったばかりの「千曲川」が歌われるではありませんか!
一言で言えば、さすが本家本元。まちの男声合唱団如きが太刀打ちできるような芸ではなく、恐れ入谷の鬼子母神という歌唱力に脱帽な訳です。何がすごいと言って、「ツボにはまった時の表現力」と言ったら、ありきたりな賛辞に収まってしまうだろうか。
この歌はもともと音域が広く、一オクターブと六度をフォローできないと歌いきれないのだが、合唱では音域を各パートに割り振ることができるので「忘れな草に帰らぬ恋を」という最もおいしい部分をトップテナーが受け持っている。絞り出すような説得力のある発声は、本家である五木ひろしがソロだからできるとも言えるだろうが、大勢で歌っている合唱団では、決して表現できない歌唱を演じている。
合唱という表現方法が、どうしても教科書的というべきか、みんなで合わせるために犠牲にしている部分があるというべきか、とにかく本家本元の歌唱に改めて脱帽した次第なのです。