美空ひばりの実質上のデビューを飾る「悲しき口笛」を男声合唱団で歌い始めた。編曲は、団内指揮者である。昭和24年の歌が登場しても何ら動揺することなく歌ってしまうのが、さすがおじさま達の面目躍如と言ったところだが、昭和31年生まれの私は、聞いたことがあっても、実際に歌うのは初めてだった。
帰宅して家内に知っているか聞いてみると、何と奇妙な振り付け付きで、歌えるではありませんか!家内は私よりも年下のはずなのだが、実にさすが! である。聞けば当時は、歌謡曲を聞くこと自体が不良扱いされていたという。たしかに港町を舞台にした恋の歌を、妙に歌の上手い子どもが歌っていること自体が、不思議な構図ではある。
しかし、この曲から昭和の歌謡曲史上に燦然と君臨する歌手の芸歴がスタートしたことを思えば、この曲も同時に歌謡曲の歴史に名をとどめる曲ということになるのだろう。
戦後まもない時代に、シルクハットをかぶった少女が、妙に大人っぽい歌を、さらに妙なことにそれなりに上手に歌っている様から人々が感じたであろう雰囲気を男声合唱団なりに表現できたらいいと思うのですが。