オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

愛知教育大学グリークラブ岡山大学コールロータス京都大学グリークラブ横浜国立大学グリークラブの4大学が「男声合唱 古今東西」と題して、神奈川県立音楽堂でジョイントコンサートを開催した。
若者たちが一生懸命熱唱する姿は、それだけで十分感動的なのだが、今回のコンサートでは、とりわけ二つのステージが印象的だった。
その一つは、京都大学グリークラブによるエストニア男声合唱。破天荒に陥らず、抑制の効いたダイナミックレンジの中で、おそらくは会場のほとんどの聴衆が初めて耳にする音楽の楽しさを、しっかり伝えていた。そこには日本の歌から聴こえてくる湿っぽい情感はない。フレーズも聴き手の感情の起伏を煽り立てるような、いわゆるサビの部分はない。でも音楽として、とても楽しいのである。素敵な演奏をありがとう。
もう一つは、100人近い若者による合同演奏だ。村田雅之氏のユニークな選曲とツボを外さない合唱づくりが、会場を魅了した。このステージは冒頭から、二重合唱によるエコー効果で聴衆を驚かせる。どの曲も楽しいが、西欧や米国の音楽を含んでいないのは、かなり意図的な感じで、発声法は異なるが少し芸術山城組的だ。インドのシタールを思わせるポルタメント唱法は、通常の合唱曲では味わえない音色であるし、八木節やアンコールの大漁歌い込みも、和太鼓やちゃんちきがなくたって、男の声そのものが魂の鼓動を伝えるには十分な楽器であることを証明して見せた。これまた素晴らしい演奏である。どうもありがとうございました。