オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

かねてから所属している室内合唱団で、アルトを歌っている。つまりトップテナーの上の音域であるカウンターテナーをやっているわけなのだ。元を正せば私はバリトンなので、ここ数年間もう一つ所属している男声合唱団でトップテナーを歌わせていただいていること自体、かなりおこがましい話なのだ。今回はさらにその音域さえも突き抜けてカウンターテナーを歌っている自分自身がいるわけで、当の本人の実感を伴わないままにかなり奇妙な進化をしている存在とでも言ったらよいのだろうか?
歌っている曲は、モンテヴェルディの「アリアンナの嘆き」で古典歌曲集に入っている名曲のマドリガル版である。これが五声で歌う曲なのだけど、その上から三つ目、ソプラノ・メゾと来てアルト・テナー・バスと続くのだが、このアルトのところを歌いなさいとの指揮者からのご指導なのである。
音域的にはHが数度現れる他、男声にとっては超高音と言ってよい音が続く。発声もわけがわからないので指揮者にきいてみると「女形」のように歌えばよいとの助言。理解が及ばなかったので、トップテナーの延長のようなつもりで歌って、現在に至っている。
今回は、とうとう居住している区の音楽祭で発表ということになった。客席で聴いてくれた男声合唱団の仲間からは賞賛の言葉をいただいたが、自分自身で開眼したり、新しい地平が開けたという実感は、あまりない。ただ今まで以上に消耗度が激しいということと、一人だけのパートなので、⚪か❌かそれしかないという開き直りで歌うしかないということの二つは、今回の発表を通して理解できた。
またこの不思議な体験については、折を見て書いてみたい