宮崎アニメ「風立ちぬ」を観に行く
空を飛ぶ。ナウシカが不思議なグライダーで。ドーラ船長の海賊船で。サツキとメイがトトロに乗って。キキがホウキにまたがって。とうとう主人公を飛行機乗りにした紅の豚etc。空中シーンは宮崎アニメの真骨頂と断言してしまっても、幾らかの共感が得られそうな気がする。
そして、今回のストーリーは、ゼロ戦を開発した天才設計者堀越二郎を下敷きにしている。小さい頃、「ゼロ戦ハヤト」を見て、プラモデルでゼロ戦を組み立てながら育ってきた親父世代には、ある種の懐かしさを伴ってウケることは疑いがない。
ただ世界中を敵に回していた日本の超高性能小型戦闘機は、相手国にとっては、自国を荒らすまさしく悪魔の使いであり、戦後日本の航空技術がコテンパンに叩かれたのも、肯けてしまう。
また、結核に冒されたヒロイン菜穂子の存在は、少々男性に尽くし過ぎるキライがあり、女性客はどう感じるだろう?
ただ「生きねば」というセリフが、ヒロイン自身に向けられた言葉という意味を超えて、二郎や戦後の日本を再復興したすべての人々に向けたメッセージであることは、何だか目的を見失って久しい先進国日本への応援メッセージとも受け取れないこともない。
今回の作品も大当たりは疑いのないところだろうけれど、サザンの新曲「ピースとハイライト」の歌詞と同様、改憲論儀や国防軍など威勢のよい論調が響き渡る今、私たちがちょっと立ち止まり、振り返るきっかけになるテーマを投げかけてくれているような気がする。
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