北杜夫「人生のずる休み」を読む
好きな作家と聞かれれば、今も「なだいなだ」と答えるだろう。そのなだいなださんの著作を読み始めるきっかけになっていたのが、なだいなだや遠藤周作、辻邦生等が、実名で登場する北杜夫の本を読んだからなのである。
ドクトルマンボウ「航海記」「昆虫記」名作「青春記」「白きたおやかな峰」三島由紀夫に喝を食らった「船乗りクプクプの冒険」等を片っ端から読んでいたのは、中高生の頃だったろうか?父親である大歌人斎藤茂吉とは、全く異質のジャンルでDNAを発揮していることは、長男の茂太さん同様だ。北杜夫の場合は、秀作と駄作のギャップがあまりにも大きいとはいえ、純文学(ちょっと古めかしい言葉だが)作家として、独自の作風を築いた昭和を代表する創作者として作品とともに後世に名を残していくだろう。
氏が他界して、二年あまりになるが、上記の本は偶然コンビニで、見つけたもの。自身の病状を読み手にとってのユーモアに変えながら、時には笑い、時には少し考えさせながら読める本だ。
はっと我に返ってみれば、ほいほいのオフは趣味三昧などという、何だか意味不明のハンドルネームだって、ドクトルマンボウというやはり何だか意味不明のタイトルに影響を受けているのかもしれない。
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