オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

池井戸潤「ルーズベルトゲーム」を読む

池井戸潤ルーズベルトゲーム」を読む

家内に勧められて、今をときめく売れっ子作家である池井戸潤ルーズベルトゲーム」を一気に読んだ(読まされた)。氏の作品を活字で読むのは「下町ロケット」以来である。追い込まれる企業経営と技術革新による窮地脱出という流れは、両著に共通しており、善玉と悪玉が明確に描き分けられ、悪玉の方が大きな企業という点も同じである。ただ本書では、それに企業スポーツとしての社会人野球の現状が並行した物語として進行し、最後は目出度く読者が安堵できる着地点に落ち着くというのも商業作家としてのお決まりなのだろう。
善玉側では、経営・管理サイドで、会長の青島、社長の細川、専務の笹井、総務部長兼野球部長の三上。野球部では、マネージャーの古賀、監督の大道、エースの沖原と始めから映像化を意識していたかのように、キャラクターが揃っており、実際にドラマ化されているようだ。
結局人を大切にして、なんぼの経営・・・という主題をできるだけ説教くさくならずに伝えようとしているのだろう。ただ筋書きやプロットが水戸黄門大岡越前的に見え隠れしてしまう時がある。それでも当世きっての作家に、読者が私のような作家を求めているのですと言われてしまえば、それまでではあるが。





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