オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

坪谷ニュウエル郁子「世界で生きるチカラ」を読む

坪谷ニュウエル郁子「世界で生きるチカラ」を読む

新聞紙面に「国際バカロレア」という言葉が登場するようになり、気になっていた。センター試験や偏差値輪切りによる進路振り分けではない世界標準の認定資格らしい。もう少し詳しく調べたいと思い、本書を読んでみた。著者は東京インターナショナルスクールを経営し、国際バカロレア機構のアジア太平洋地区の理事を務めていらっしゃる方だ。
この手の書物に多い我田引水的な誘導を感じないのは、著者が巨視的な展望の元に我が国の教育の課題を憂いているところが出発点になっているからだろう。一種最高学府として信仰の対象に近い存在である東大様への合格者数で教育の成果が評価されている国は、やはり教育の世界でもガラパゴス化していると言われても仕方がないのだろう。また、国際バカロレアコースの実践事例として、東京インターナショナルスクールを始めとして、玉川学園や立命館宇治高校における国際バカロレア教育の実際を紹介しているところも読みやすい。
本書は、いわゆる一条校である学校に勤務する教員には「探求型学習」を、総合的な学習の時間を中心に推進する参考となるだろう。さらには知識詰め込み教育のデッドエンドが見えながらも、未だに同じ轍を踏んでいる教師たちへの警鐘とも感じ取れた。





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