パレストリーナを聴く1
プロカンティオーネ・アンティクヮでミサ「エテルナ・クリステ・ムネラ」を聴く
この曲との出会いは、大学グリーの時代に遡る。常任指揮者のご意向により、お決まりのように定期演奏会では、ミサ曲を採り上げることになっていたのだが、その選曲に困っていた時、早稲田大学グリークラブ・ライブラリアンのご好意により、この曲と出会った。レパートリーとして練習に入ったのはよいが、当時はポリフォニーの歌い方など、深く理解できているはずもなく、何だかゴツゴツとしたあまりパレストリーナらしからぬ演奏をしていたように思う。厚顔の至りである。
ここまで書いて、久しぶりに学生時代の演奏を聴いてみた。感じたことは、名曲というのは、やはり素晴らしい構造物であり、日本の学生が若気の至りでチャレンジしてもそれなりに曲のフォルムが崩れずに音楽になっている。ただ端々で馬脚を現していると言うか、なぜそこをそのように歌うか?と思えるような音が聴こえるのは、ご愛嬌だろう。
その後、程なくして、プロカンティオーネ・アンティクヮの演奏と出会う。当グループが、このミサを録音したのが1974年だから、それから3〜4年は経っていた。しかし、その間に、早稲田大学グリークラブや私の所属していた横浜国立大学グリークラブなどが国内で演奏しているのだから、この音楽に対する日本の学生たちの嗅覚はなかなか素晴らしい。
当時ルネサンス音楽を演奏すれば、世界最高水準であったプロカンティオーネ・アンティクヮの演奏にふれ、冷や汗が出るような、まさしく平身低頭の思いだった。それから40年近くが経つが、未だに当曲の演奏でプロカンティオーネ・アンティクヮを上回る演奏を知らない。雑事に追われ、心が、がさついている時、私にとって一服の清涼と安らぎを与えてくれる名演奏だ。
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