オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

パレストリーナを聴く3

パレストリーナを聴く3

モテット「谷川慕いて鹿のあえぐごとく」「バビロンの川のほとりに」を聴く

我が国で最もよく歌われている西洋音楽が、ベートーヴェン「第九」とすれば、「第九」の演奏を経験した人のうち、パレストリーナを歌った経験もある人はどれくらいいるのだろう?パレストリーナにこだわらずルネサンス期の合唱というくくりでもよい。ポリフォニーという時代、バッハという巨人を通過してこそ、あの二重フーガがあるのですが・・・。美しさや情感に対する理解というのは、そこにたどり着いた足跡を経験してみることで深まるように思うのですが。
それでも、今回の「谷川・・」「バビロン・・・」は、パレストリーナの曲の中で最も日本人に歌われてきている曲だろう。「バビロン・・・」は合唱コンクールの課題曲に採り上げられたこともあったし、カワイ出版のリーダーシャッツなど合唱曲の定番を納めた曲集に入っている。
私自身は、戸塚混声合唱団の指揮をしていた頃、この二曲を練習曲に採り上げたことがある。その頃なぜか団員が急増の気配を見せており、合唱団の成長過程の中で早目に基礎としてのポリフォニーを歌っておかなければ・・との思いからだった。その時は、結局公開の場では演奏していないけれど、どのパートも対等に主旋律を歌えるように実力をつけたいと考えていたのだと思う。
久しぶりにその名曲をプロカンティオーネ・アンティクァで聴いた。谷川に集う鹿の喜び、バビロンに囚われている人々の望郷の思いが、決して激さずに、淡々と音楽で表現されていく様子は、誠に素晴らしい。





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