オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

水野和夫「資本主義の終焉と歴史の危機」を読む

水野和夫「資本主義の終焉と歴史の危機」を読む

2014大晦日。かねてから読みたかった本書を、リビングで紅白歌合戦に興じている家族を尻目に一気に読んでしまった。本書はタイトルからして極めて挑発的だが「株価が上がったのになぜ給料が上がらないのか?」「2003年頃からGDP成長率が上向きだった頃に賃金が下がったのは、なぜか?」「国家財政が1000兆円の借金を抱えている時に、どのような政策を受け入れればよいのか?」それら庶民の素朴な疑問に直接ではないにせよ、その原因となっている仕組みを解き明かしてくれる。そして、著者の立ち位置が現在進行中のアベノミクスと正反対にあることもよくわかる。
私も、世界の富のかなりの部分を一部の機関投資家が牛耳っているグローバリゼーションの虚構については苦々しく感じていたので、著者に共感するところは大なのだ。だが資本主義が行き詰まり、にっちもさっちもいかない状況については、とてもよくわかるのだが、現実にどうすればよいのか?その方策について著者は現時点では多くを語っていない。文中に少し顔を出すトービン税やATTACの活動などが突破口になり得るかもしれないような期待感を抱かせる。地球規模の資本主義の課題の克服について、今試みられている方法を学んでみたいと思った。





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