オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

日本の名教師列伝2 二宮尊徳1

日本の名教師列伝2 二宮尊徳1
〜先生たちは日本の未来をどう見据え、語ってきたのか?〜

「偉い人モデル」の尊徳先生と道徳教育

農政に力を発揮した尊徳先生は、直接教師として教育に携わったわけではないが、なぜか多くの学校に尊徳先生=二宮金次郎の像が残されている。そもそも薪を背負いながら本を読んでいる姿が、本当に尊徳先生の少年時代にあり得た話なのか?少々怪しい。ただ、寸暇を惜しみ勤勉に励むこの像が、学校に設置されていることにより、多くの子どもたちに、勉学に励む大切さを発信してきただろう。辛抱に耐えることを国民に強いる国家政策に利用されていたという説もある。今の時代であれば、児童相談所児童虐待として通報されかねない様子でもある。尊徳先生ご自身は、自分の像が全国の小学校に設置される様子を、草葉の陰でどう感じていらっしゃるだろう。
像設置以前にも、尊徳先生は道徳(修身)の教科書に登場していた。そして最近文部科学省が全国の小学生に配布している「わたしたちの道徳」に再び二宮金次郎先生の逸話が紹介されている。なたねを植えて油を取り、その後油で勉学に励んだ逸話が紹介されている。これは、実にいろいろなとらえ方ができる教材だが、今の世相を考えると、貧しくても自助努力によって境遇は克服できるはずなので、頑張りましょう!という少し穿った見方もできる。もちろん家に帰ったら宿題などほったらかしでゲーム三昧の日々を送っている子どもたちへの警鐘でもあろうが。
偉い人のエピソードを切り取って教材化することは教育界の常だが、多角的な見方が可能な逸話を、意図的に一つの見方に教師主導で収斂させていくことには、問題があるだろう。そもそも二宮尊徳先生が残された教えのうち、後世に生きる私たちが心に刻むべき主題は別のところにあると思うのです。それは次回に。




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