オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

泉三郎「伊藤博文の青年時代 」を読む

泉三郎「伊藤博文の青年時代 」を読む

以前、日本をつくってきた政治家として、源頼朝大久保利通吉田茂の三人の名前を挙げたことがある。歴史上の超大物としては、豊臣秀吉伊藤博文という片や戦国時代の混乱から天下統一を成し遂げ、片や激動の幕末をくぐり抜け近代日本の政治制度をつくった二人の名前を避けている。実はこの二人には、少なからず共通点がある。その生きた時代が、波乱から安定に向かう時代であったこと、そしてそれを実現した当事者であること。大変人なつっこい性格で誰からも愛されたこと。おまけにかなりの好色家!行動が大変機敏であったこと。そして二人とも後世の評価が分かれており、それは主に人生の最後半の履歴により、偶然にも隣国への侵略、隣国の併合という暴挙が、その評価に大きな影を落としているということ。
なら前半生だけを切り取れば、輝かしい伝記になるではないか!その通り。秀吉なら清洲会議辺りまでの駆け上がっていく人生は、典型的なサクセスストーリーだ。伊藤博文松下村塾以前の少年期から辿り、大久保利通に成り代わって明治政府の屋台骨を背負っていくまでの過程で維新の激動期に何を体験し、どう活躍していたのかを知るだけでも、大変興味深い物語になるだろう。本書は、西郷+江藤+板垣vs岩倉+大久保+木戸という所謂征韓論を巡る対立、明治6年の政変に至るまでの前半生を紹介している。中でも岩倉使節団に副使として同行し世界各国を巡る旅において、伊藤が何を学んだか?について大きな失敗を乗り越え糧としていく様子を取り上げながら、詳述している。明治維新のメインストリートを闊歩していた政治家たちの横顔を覗くには良書だと思う。





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