日本の名教師列伝4 福沢諭吉2
〜先生たちは日本の未来をどう見据え、語ってきたのか?〜
「学問のすすめ」から学ぶ個人の自立 政府と市民の関係
人にはそれぞれ大切な権理があると教えられても、兵農分離が進んでから被支配の立場であった多くの人々には、「お上」にどう関わればよいのか?わからなかったのであろう。そこで福沢先生が熱弁をふるっていらっしゃるのが、政府と市民の関係である。福沢先生の例えは極めてわかりやすく、国を会社経営に例え、国民は客でありながら主人でもあると説いている。
国民の権利がかなり制限されていた大日本帝国憲法ができるのが明治二十二年、帝国議会が開設されるのが明治二十三年の話だから、それに先んじること十五年も前に国民主権に近い話をしていることには、まったく驚かされる。さらに政府に対し、税金を納めるべき必要性や、政府に対して意見を述べる正しい方法までを説いている。その後、時代は福沢先生の思想をゆっくり追いかけるように進んできたわけだ。
日本がこの時期に福沢諭吉という思想家を有したことの幸せを思う。
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