日本の名教師列伝4 福沢諭吉3
〜先生たちは日本の未来をどう見据え、語ってきたのか?〜
「学問のすすめ」から学ぶ国の独立
尊皇だの攘夷だのと若い志士たちが騒ぎまくっていた時代からほんの数年。またたく間に時代は開国から文明開化へと変化してしまった。当時の人々にとって、欧米の文明は、驚異であったろうし、実際欧米に追いつき追い越せの時代が、その後100年ほど続く。
洋学者である福沢先生は、欧米人にもいろいろな人物がいるとの例えを出しながら、いたずらに劣等感にさいなまれることを戒めている。この辺りが学ぶべきことは大いに学べども、学ぶべき価値がないことには目を向けないという絶妙なバランス感覚が感じられる。
ただ警鐘を鳴らしているのは、同じアジアでインドや中国が列強による帝国主義により侵略されていた事例を踏まえ、国としてしっかり独立を保つべきであることを力説している。後年の脱亜入欧論や日清戦争に対する福沢先生の考え方に対して、批判が飛び交うが、国の独立を憂う気持ちの延長だったのかもしれない。
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