オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

植木等 夢を食い続けた男 を読む

植木等  夢を食い続けた男  を読む


この本は、ずいぶん前から私の書棚に埃まみれで置いてあった。最近クレイジーキャッツの特集番組を見て、往年のヒット曲を聴いて暫ししみじみとしながら、ふと植木等の父親である徹誠のことを思い出したのです。

不連続な人生を楽しめる才能とか運命は、人生の喜びを享受できる生き方だと思うのですが、息子植木等は父親を語る講演に於いて、そのタイトルを「支離滅裂」と名付けた。しかし、この一代記を読み進める程に、アイロニカルな「支離滅裂」という息子等の見方とは、まったく裏腹な生き方、すなわち自分の信念・思想に対して誠を尽くし、徹する徹誠の姿が浮かび上がってきてしまう。

社会主義、部落解放運動、反戦と僧徹誠が、投獄を物ともせずに文字通り身を粉にして語りかけ、仲間と連帯した活動は多岐にわたる。ただ、人々は本来平等であるべきなのに、損なわれている事案に出会った時、徹誠の信念はそれを決して許してはおけなかったのだろう。とりわけ朝熊闘争の詳述については、単に徹誠の伝記という枠を越えて、学ぶことが多かった。

「割り切れぬまま割り切れる浮世かな」徹誠が友人に揮毫したという言葉と、等が歌って一世を風靡した「わかっちゃいるけどやめられない」は、どこか地下水脈で繋がっているような気がする。それを親鸞上人の思想にまで関連づけて、言ってのけるところが僧だった徹誠の面目躍如なのかもしれない。







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