オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

ブラームスの合唱曲にひたる 第三夜

作品82ネニエをブロムシュテットがサンフランシスコで録音したCDで聴く。ブラームスに限らず全音楽史の中から、一番好きな曲を一曲挙げなさいと言われたら、私は迷わずこの曲の名前を挙げるだろう。全曲全ての曲想がこよなくロマンチックで、テンポ・ダイナミクスともに大きな揺らぎを生じながら、聴き手の心のひだをそっと撫でるように、あるいは揺さぶりながら音楽は進んでいく。とりわけ旋律やハーモニーが美味しいところは、無伴奏で書かれているので、いっそう美しさが引き立てられている。思えばシンフォニーであってもブラームスをインテンポで平然と演奏するくらいつまらないものはないわけで、やはりブラームスはロマン派の巨匠なのである。
実は、恥ずかしながら15年くらい前にこの曲を指揮したことがある。今回改めて聴き直してみたのだが、力みやテンポの煽り方が我ながらどうにも青臭い。もし今機会が与えられるとしたら、こうは振らないだろうなと思う。ブラームスは聴きての年輪とともに理解が深まる音楽を書いた人なのだ。