オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

ブラームスの合唱曲にひたる 第七夜

作品89 運命の女神の歌を聴く。130年くらい前にどのような運命論が知識人の間で流行していたのかはわからないけれど(むしろゲーテの人間観か?)、またもや神々に対する人間の無力を歌っている。曲はブラームスの合唱曲にしてはホモフォニックな歌わせ方が目立つが、そのことにより言葉の伝わり方が一層強まっている。三拍子の柔らかい旋律が出る頃から音楽的には安らぐが、詩の内容は相変わらず絶望的な内容を歌っている。
そしてこの曲をもって、ブラームス管弦楽を伴う合唱曲は終わり、後は第二夜でふれた無伴奏の合唱曲が書かれていく。ブラームス自身のエネルギーが減衰したというより、より違うスタイルによる曲作りに関心が移って行ったのだと思う。閃いた楽想をどうしたらより豊かに表現できるか?について、さらに考え続けていくことになるのである。

ぶっ続けで聴いてきましたが、ひとまずこの連載?を終えます。最後まで私の拙文にお付き合い下さった方には、ブラームス最大の合唱作品であるドイツ・レクイエムについて、ふれていないことに呆れられた方がいらっしゃるかもしれない。それについては場を改めることにしても、リナルド、マリアの歌や勝利の歌などこれから聴いてみたい曲もある。いずれ飢え渇いた心が泉を求めるように、ふたたびブラームスという最高のオアシスに戻って来たいと思う。