オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

瀬谷ルミ子「職業は武装解除」を読む1

日曜日夜6時半、TBSで放映している「夢の扉」という番組を見ている。最近、日本紛争予防センター理事長の瀬谷ルミ子さんを特集しており、彼女の活動に少なからず感銘を受け、著書を是非読みたいと思ったわけです。
本書は、瀬谷さんが現在の活動を志すに至った経緯に始まり、国連スタッフ、外務省職員、NGOメンバーとして武装解除の現場に立つまで、そして現地での具体的な活動が語られていく構成になっている。

前半部分では、家族について語った後、次のような言葉が出てくる。
「できない」ことと「やらない」ことは決定的に違う。「できない」ことは、自分の能力や環境その他の外部条件が原因のこともある。「できない」ことは場合によってはあきらめるしかない。ただ今はできなくても努力して、将来できるようにすることが可能な場合もある。
一方「やらない」ことの原因は、自分の気の持ちようを変えるだけで解決できる。

さらにその少し前で
私は、紛争地で仕事に取り組む上で、「やらない言い訳をしない」ことをポリシーにしている。その原点は、私のもっとも身近な家族が困難な人生に向き合う姿を見てきたことにあると思う。やらない言い訳をすると、困難に直面した時に、問題を解決するために何ができるか突破口を考えることから逃げてしまう。そしてその問題がどんどん難しく見える原因を自分が作ってしまう。そしてそのことに本人は気づかない。

クールに響くこの言葉は、怠惰な私には少々耳が痛い。しかし、こう話す背景で彼女が今まで誰と出会いどのような経験積み重ねてきたのか?に思いを馳せれば、実に重い説得力のある言葉に感じられてくる。

少し後のところで、こんなことも語っている。
同僚からは、紛争地で悲惨な現実に直面しても感情的にならず淡々としていることが多いとよくいわれる。それは自分の仕事は同情することではなく、人々の抱える問題を解決するために行動することだとつねに思っているからだと思う。