オヤジのあくび

タケさんの気楽に行こうよ道草人生の続編です。

瀬谷ルミ子「職業は武装解除」を読む2

以前当ブログで、国境なき医師団で活動していた山本敏晴さんの読後感を書き込んだが、瀬谷さんもシエラレオネに入っている。

瀬谷さんは
「両親を殺され孤児になった子どもと三十人を殺した子ども、手を差し伸べられるべきなのはどちらだろう?」と問いかける。

誘拐され、麻薬・アルコール漬けになり、兵士として多くの人を殺した「子ども兵」に帰る場所はない。そんな子ども兵の一人が登場する。一方で内戦で手足や指を武装勢力に切断された被害者の話が紹介される。

加害者よりも被害者が圧倒的に多い中で、武装した兵士は武器を手放すことで恩赦を受け、一般市民に戻っていく。憎しみを連鎖させずに、加害者と被害者が隣人として平和を構築していく上での耐えがたい葛藤について、瀬谷さんは語っている。

なぜだか高橋和巳さんのことが、思い出されたが、虚無に耐えつつ存在として、やはり前に進まざるを得ない人々の痛い心情が、伝わってくる。